2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

枯草ふかう一すぢの水涌きあがる

―山頭火の一句― 大正6(1917)年の句、「人来り人去る 十一句」と前書あり。前年の春、破産出郷、山頭火は妻子を連れて熊本へと落ちた。 「寂しき春」前書した「燕とびかふ空しみじみと家出かな」は出郷の折の句。熊本ではまず古書店を営むもうまくゆかず、や…

隣をかりて車引こむ

<連句の世界−安東次男「風狂始末−芭蕉連句評釈」より>「鳶の羽の巻」−24 痩骨のまだ起直る力なき 隣をかりて車引こむ 凡兆次男曰く、自力で駄目ならせ人手を借りるしかない。背抱えに扶け起される病人の恰好は、荷車の後押を得て轅-ながえ-を抱え込む姿勢…