2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

どかりと山の月おちた

―表象の森― 蛇状曲線的−痙攣的対比-コントラスト-と逆説-パラドックス-の「蛇状曲線様式」による幻視者的な「高速度撮影-像」は、ヨーロッパ精神史の中でいくつかの頂点を閲している。こうした「爆発的に凝固した」頂点の一つがティントレットの傑作、ヴェネ…

鳴くかよこほろぎ私も眠れない

―行き交う人々― 浜田スミ子篇RYOUKOの命日も近い10日だった。 長年音信の途絶えていた人から供物が届けられた。中身はお線香。 届け主は浜田スミ子、もう25、6年は逢っていない。添えられた書面には、 「逆縁」拝読しました。 本のタイトルに心がざわつきま…

樹影雲影に馬影も入れて

―日々余話― たまらぬ残暑に‥からだが怠い、いささか夏バテ‥‥。とにかく蒸し暑い‥、今日はいったい何日だっけ? 9.14‥、とたんにはっと気づいた、RYOUKOの‥‥。 そうだ、礼状を書かなければ‥、遠い昔の知友から供物の線香が届いていた、二、三日前だ。 春先に…

萩の一枝にゆふべの風があつた

―日々余話― たった一泊の白馬、あわただしい休日−ラフオーレ白馬美術館でChagallを鑑賞、銅版、木版の、多くの板画が展示されていた。彼の生涯と作品を解説する映像は、入門には好適。宿泊のログハウスは、もうかなり年代物だが、それでも家族水入らずの一夜…

また逢ふまでのくつわ虫なく

―表象の森― <日暦詩句>-45 「眼」 西脇順三郎白い波が頭へととびかゝつてくる七月に 南方の奇麗な町をすぎる。 静かな庭が旅人のために眠つてゐる。 薔薇に砂に水 薔薇に霞む心 石に刻まれた髪 石に刻まれた音 石に刻まれた眼は永遠に開く。 ―詩集「Ambarv…

起きるより土をいぢつてゐるはだか

―日々余話― 三年前の今日とうとう、か‥、やっと、か‥、 とにかくも、あの夜から、丸三年が経ったあの、忌まわしい事故が起きたのは、午後8時15分頃 私の携帯に、報せが入ったのは、午後9時を少し過ぎていたか‥事故直後より、おまえは、ただ眠りつづけ、5日後…

日照雨ぬれてあんたのところまで

―山頭火の一句― 行乞記再び-昭和7年-2429月8日、酔中、炊いたり煮たり、飲んだり食べたりして、それを片付けて、そのままごろ寝したと見える、毛布一枚にすべてを任しきつた自分を見出した。 雨がをりをりふるけれど、何となくほほゑまれる日だ。 -略- 其中…

枯れようとして朝顔の白さ二つ

―日々余話― 由らしむべし知らしむべからずそのとき、私は愕然とした――そうか、そうだったのか、それが事の本体か‥、なんということ、これは‥、この問題は、そういことだったのか。問題の渦中にある者、それがのっぴきならない問題であればあるほど、肝心の当…

まがつた風景そのなかをゆく

―四方のたより― 樹木希林のCM-雑草篇「やっぱりひとりがよろしい雑草」と、山頭火のよく知られた句を呟く樹木希林―― バツクには福山雅治が歌う「家族になろうよ」が流れ、 ややあって、前句をひとひねりしたかのように「やっぱりひとりじゃさみしい雑草」と…

雨ふるふるさとははだしであるく

―四方のたより― 鳴り物入りの不発弾台風12号は山陰沖に去ったというのに、なお近畿南部などには豪雨警報もあり、台風一過とはなかなかいかないらしい。 その台風襲来のなか、3、4日の両夜、木津川縁の一隅で催されているのが件の催し。音楽、ダンス/舞踏、…

いちじくの実や、やつとおちついた

―四方のたより― 異常台風台風12号の上陸もまぢかというのにずいぶんと蒸し暑い。 それにしても異常な進路、うろうろ、のろのろと、今年の台風は従来型からほど遠いのは、どうにも気にかかるが、そういった問題については、気象庁なども情報が乏しい。<日暦…

後悔の朝の水を泳ぎまはる

―四方のたより― 茶谷祐三子のインド舞踊講座インド古典舞踊Odissi Danceを踊る花の宮こと茶谷祐三子から講座開設の案内が送られてきた。1989(S64)年6月4日の天安門事件、その2週間前の5月19日から24日、われわれ一行は上海・瀋陽・北京を巡っていた。一行とは…