2009-01-01から1年間の記事一覧

寒ン空、二人連れは男と女

―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-15- 1月11日、曇つて晴れる、雪の後のなごやかさ。いつものやうに、御飯を炊いて、そして汁鍋をかけておいて湯屋へ。− あんまり寒いから一杯ひつかける、流行感冒にでもかかつてはつまらないから、といふのはや…

吹雪吹きこむ窓の下で食べる

―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-14- 1月10日、雪が積んでゐる、まだ降つてゐる、風がふく、寒く強く。近来にない寒さだつた、寒が一時に押し寄せたやうだつた、手拭も葱もご飯も凍つた、窓から吹雪が吹き込んで閉口した。ありがたいことには炬…

縫うてくれるものがないほころび縫つてゐる

Information – 四方館の DANCE CAFE –’09 Vol.4- 出遊-二上山夢験篇- あそびいづらむ-ふたかみやまゆめのあらはれへん- Date :12/27 –Sun- PM2:30 Space : 弁天町市民学習センター愈々、明日に迫ったDANCE CAFEだが、偶々、毎日新聞の今夕刊「万葉のとびら…

送つてくれたあたゝかさを着て出る

Information – 四方館の DANCE CAFE –’09 Vol.4- 出遊-二上山夢験篇- あそびいづらむ-ふたかみやまゆめのあらはれへん- Date :12/27 –Sun- PM2:30 Space : 弁天町市民学習センター―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-12- 1月8日、朝のうちはうら…

尿する月かくす雲のはやさよ

Information – 四方館の DANCE CAFE –’09 Vol.4- 出遊-二上山夢験篇- あそびいづらむ-ふたかみやまゆめのあらはれへん- Date :12/27 –Sun- PM2:30 Space : 弁天町市民学習センター―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-11- 1月7日、曇、后晴、寒く…

食べるもの食べつくしてひとり

Information – 四方館の DANCE CAFE –’09 Vol.4- 出遊-二上山夢験篇- あそびいづらむ-ふたかみやまゆめのあらはれへん- Date :12/27 –Sun- PM2:30 Space : 弁天町市民学習センター―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-10- 1月6日、雨、何といふ薄…

霧の朝日の葉ぼたんのかがやき

Information – 四方館の DANCE CAFE –’09 Vol.4- 出遊-二上山夢験篇- あそびいづらむ-ふたかみやまゆめのあらはれへん- Date :12/27 –Sun- PM2:30 Space : 弁天町市民学習センター―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-09- 1月5日、霧が深い、そし…

ひとり住んで捨てる物なし

Information – 四方館の DANCE CAFE –’09 Vol.4- 出遊-二上山夢験篇- あそびいづらむ-ふたかみやまゆめのあらはれへん- Date :12/27 –Sun- PM2:30 Space : 弁天町市民学習センター―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-08- 1月4日、曇、時雨、市中…

詫手紙かいてさうして風呂へゆく

Information – 四方館の DANCE CAFE –’09 Vol.4- 出遊-二上山夢験篇- あそびいづらむ-ふたかみやまゆめのあらはれへん- Date :12/27 –Sun- PM2:30 Space : 弁天町市民学習センター―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-07- 1月3日、うららか、幸福…

お正月の熊本を見おろす

Information – 四方館の DANCE CAFE –’09 Vol.4- 出遊-二上山夢験篇- あそびいづらむ-ふたかみやまゆめのあらはれへん- Date :12/27 –Sun- PM2:30 Space : 弁天町市民学習センター―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-06- 1月2日、曇后晴、風、人…

元日の捨犬が鳴きやめない

Information – 四方館の DANCE CAFE –’09 Vol.4- 出遊-二上山夢験篇- あそびいづらむ-ふたかみやまゆめのあらはれへん- Date :12/27 –Sun- PM2:30 Space : 弁天町市民学習センター―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-05- 1月1日、雨、可なり寒…

今年も今夜かぎりの雨となり

Information – 四方館の DANCE CAFE –’09 Vol.4- 出遊-二上山夢験篇- あそびいづらむ-ふたかみやまゆめのあらはれへん- Date :12/27 –Sun- PM2:30 Space : 弁天町市民学習センター ―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-04- 12月31日、曇つて寒い、…

あんな夢を見たけさのほがらか

Information – 四方館の DANCE CAFE –’09 Vol.4- 出遊-二上山夢験篇- あそびいづらむ-ふたかみやまゆめのあらはれへん- Date :12/27 –Sun- PM2:30 Space : 弁天町市民学習センター ―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-03- 12月30日、風は冷たいけ…

月の葉ぼたんへ尿してゐる

―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-02- 12月29日、晴、紺屋町から春日駅へ、小春日和の温かさ。 或る人へのたよりに、「‥ここへ移つて来てから、ほんたうにしづかな時間が流れてゆきます、自分自身の寝床−たとへそれはどんなにみすぼらしいもので…

どしやぶり、正月の餅もらうてもどる

―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より 昭和5年12月28日から昭和6年2月5日に至る間の日記は、自筆ノートの表紙に三八九日記と注記されている。12月28日、曇、雨、どしや降り、春日へ、そして熊本へ もう三八九日記としてもよいだらうと思ふ、水が一す…

タドンあたゝたかく待つてゐてくれた

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月27日の稿に 12月27日、晴、もつたいないほどの安息所だ、この部屋は。ハガキ40枚、封書6つ、それを書くだけで、昨日と今日とが過ぎてしまつた、それでよいのか、許していただきませう。 ‥ようやく、おかげで。自分自身…

やつと見つけた寝床の夢も

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月26日の稿に 12月26日、晴、しづかな時間が流れる、独居自炊、いいね。寒い、寒い、忙しい、忙しい−我不関焉! これらの句は二三日来の偽らない実景だ、実景に価値なし、実情に価値あり、プロでもブルでも。※表題句の外…

大地あたゝかに草枯れてゐる

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月25日の稿に 12月25日、晴、引越か家移か、とにかくここへ、春竹へ。緑平さんの、元寛さんの好意によつて、Sのところからここへ移つて来ることが出来た。‥ だんだん私も私らしくなつた、私も私の生活らしく生活するやう…

見すぎ世すぎの大地で踊る

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月24日の稿に 12月24日、雨、彷徨何里、今後もSの厄介、不幸な幸福か。また清水村へ出かけてA家を訪問する、森の家を借るために、−なかなか埒があかない、ブルヂョアぶりも気にくはない、パンフレツトを出すのに不便でも…

枯草ふんで女近づいてくる

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月22日の稿に 12月23日、曇、晴、熊本をそまよふてSの家で、仮寝の枕!けふも歩きまはつた、寝床、寝床、よき睡眠の前によき寝床がなければならない、歩いても歩いても探しても探しても寝床が見つからない、夕方、茂森さ…

つめたい眼ざめの虱を焼き殺す

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月22日の稿に 12月22日、曇、晴、曇、小雪、行程5里、本妙寺屋。一歩々々がルンペンの悲哀だつた、一念々々が生存の憂鬱だつた、熊本から川尻へ、川尻からまた熊本へ、逓信局から街はづれへ、街はづれから街中へ、そして…

道はでこぼこの明暗

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月21日の稿に 12月21日、晴后曇、行程5里、熊本市。昨夜、馬酔木居で教へられた貸家を見分すべく、10時、約束通り加藤社で雑誌を読みながら待つてゐたら、例のスタイルで元寛さんがやつてきた-馬酔木さんは遅れて逢へなか…

今夜の寝床を求むべくぬかるみ

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月20日の稿に 12月20日、雨、曇、晴、行程4里、本妙寺屋。雨に間違いない空模様である、気の強い按摩さん兼遊芸人さんは何のこだはりもなく早く起きて出ていつた、腰を痛めてゐる日本的鮮人は相変はらず唸つてゐる、−間も…

夕べの食へない顔があつまつてくる

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月19日の稿に 12月19日、晴、行程2里、川尻町、砥用屋。まつたく一文なしだ、それでもおちついたもので、ゆうゆうと西へ向ふ、3時間ばかり川尻町行乞、久しぶりの行乞だ、むしやくしやするけれど、宿銭と飯代とが出来るま…

あるけばあるけば木の葉ちるちる

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月18日の稿に 12月18日、雨、后、晴、行程不明、本妙寺屋。終日歩いた、ただ歩いた、雨の中を泥土の中を歩きつづけた、歩かずにはゐられないのだ、ぢつとしてゐては死ぬる外ないのだ。朝、逓信局を訪ねる、夜は元寛居を訪…

霧、煙、埃をつきぬける

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月17日の稿に 12月17日、霜、晴、行程6里、堕地獄、酔菩薩。朝、上山して和尚さんに挨拶する-昨夜、挨拶にあがつたけれど、お留守だつた-、和尚さんはまつたく老師だ、慈師だ、恩師だ。茅野村へ行つて見てまはる、和尚さ…

見すぎ世すぎの大地で踊る

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月16日の稿に 12月16日、晴、行程3里、熊本市、本妙寺屋堅いベンチの上で、うつらうつらしてゐるうちにやうやく朝が来た、飯屋で霜消し一杯、その元気で高橋へ寝床を探しにゆく、田村さんに頼んでおいて、ひきかへして寥…

磯に足跡つけてきて別れる

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月15日の稿に 12月15日、晴、行程2里、そして汽車、熊本市、彷徨。けふも大霜で上天気である、純な苦味生さんと連れ立つて荒尾海岸を散歩する-末光さんも純な青年だつた、きつと純な句の出来る人だ-、捨草を焚いて酒瓶を…

夕闇のうごめくは戻る馬だつた

Information – 四方館のWork Shop 四方館の身体表現 -Shihohkan’s Improvisation Dance- そのKeywordは、場面の創出。 場面の創出とは そこへとより来たったさまざまな表象群と そこよりさき起こり来る表象群と、を その瞬間一挙に まったく新たなる相貌のも…

水のんでこの憂鬱のやりどころなし

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月13日の稿に 12月13日、曇、行程4里、大牟田市、白川屋昨夜は子供が泣く、老爺がこづく、何や彼やうるさくて度々眼が覚めた、朝は早く起きたけれど、ゆつくりして9時出立、渡瀬行乞、三池町も少し行乞して、善光寺へ詣で…