2012-01-01から1年間の記事一覧

捨てきれない荷物の重さまへうしろ

島原半島をぐるりと往く―山頭火行乞記昭和7年2月7日に長崎市内を発った山頭火は、8日に諫早南部の有喜町に泊り、翌9日から23日迄の15日間をかけ、兪々島原半島を西から東へぐるりと廻る行乞行となるが、この行程で眼を惹くのは、心身不調ゆえか理由は一向に…

なにもかも雑炊としてあたゝかく

―表象の森― 遊びをせんとや‥、戯れせんとや‥ -石田博の東京個展-6月台風の襲来で列島は豪雨禍のさなかだが、 盟友・石田博の東京での個展が、の昨日-19(火)〜24(日)-から始まっている。 題して「今辿り着きしもの」とや。今ではサン・イシドロ釡を称する陶芸家…

これが一生のをはりの、鴉と子供

―表象の森― 一気に4ケ月分の購入本など掲載座・九条の手づくり工事作業とFacebookにかまけて、 なんと84日ぶりの言挙げ、Blogである。―5月の購入本― ・金完燮「親日派のための弁明」草思社 ・金完燮「親日派のための弁明2」草思社 ・松岡和子訳・シエイクスピ…

雪あかりの、足袋のやぶれからつまさき

―四方のたより― 手づくりの仮称「座・九条」還暦を迎えたのももうずいぶんまえ、我が人生もすでに第4コーナーを廻って、そろそろラストストレッチに差しかかる頃なのだろう。なればこそ、梁塵秘抄の彼の歌― 「遊びをせんとや生まれけむ、戯れせんとや生れけむ…

ふくらうがふくらうに月は冴えかへる

―表象の森― 末永旭濤は「小栗栖」明26日-日曜-は、奥村旭翠一門の筑前琵琶演奏会。 毎年春先の頃に開催され今年で22回目とか。 はて、旭濤こと連合い殿の出演は10回ほどを数えるのだろうか、 いつのまにかそれほどに歳月を重ねてきたのだ。 ―山頭火の一句― …

なむからたんのう御仏の餅をいただく

―日々余話− バレンタインだったか‥朝からピンポンとドアホンが鳴る。 メール便はバレンタインのチョコだった。 送り主は16歳の少女ありさ― こんな爺さんに、こんなに盛り沢山のチョコは、いくらなんでも不似合だろうに…。 でも、その一杯の気持は、やっぱり…

はれてひつそりとしてみのむし

−表象の森− 永井隆と如己堂先夜、たった二畳一間の小さな家屋の写真に誘われて、長崎原爆被災の医師、永井隆の著書「長崎の鐘」と「この子を残して」を青空文庫で読んだ。爆心地から700mの長崎医大で被爆した彼は、白血病を負いつつ戦後の6年を生きた。 命日…

夜のふかうして薬鑵たぎるなり

―日々余話− 机越しに‥我が家の居間、横に長い机に向かえば、壁一面に一間半の書棚。 その棚の一角を占めているのが三人の遺影。 中央に、’08年9月に事故で逝った娘のRyouko、その左右に我が両親。 仏壇はない、位牌もない、こうしてただ写真のみ。日々、机に…

朝から小鳥はとべどもなけども

−表象の森− 河本真理「切断の時代-20世紀におけるコラージユの美学と歴史-」「コラージュの空間において、破壊的な身振りによって立ち現れる、の問題は、とりわけ興味深い。 パウル・クレーは、生涯にわたって、いったん完成されたと思われた200以上の作品を…

ふるつくふうふう逢ひたうなつた

−日々余話− 戦いぬいた闘士昨朝、起きると声が出ない。 嗄れ声どころではない、息を送れども、まったく声帯は鳴らない。 前夜、呑みながら喋りすぎたのだ。こういう羽目に陥るのはまことに久しぶり‥。 市岡美術のOBたち、Kさんを囲んで、17期がO君、I君、U君…

夢の女の手を握つたりなどして夢

―温故一葉― 田中恒子さんへ 先日は、突然の電話で、さぞ驚かせたことと思います。 図録、拝受。昔の巻手紙のような、いささか型破りな体裁に驚きましたが、見ていくうちに、美術館に行って諸作品を観ているかのような、そんな工夫なのだと合点、思わずニヤリ…

まがらうとしてもうたんぽゝの花

−日々余話− 地震-なゐ-の句「国一つたたきつぶして寒のなゐ」 安東次男 「白梅や天没地没虚空没」 永田耕衣 「寒暁や神の一撃もて明くる」 和田悟朗 「地震(なゐ)の夜の林檎ニッポンは滅びますか」 奥坂まやあの阪神・淡路の震災から17年− その歳月は被災した…

冬の山が鳴る人を待つ日は

―日々余話― ご年詞正月の松の内とは、近年はどうやら7日説が有力のようだが、抑もは15日までを指した筈。 今日はまだ12日だから、遅まきながらとはいえ、この場を借りて年始の挨拶を掲げても、咎め立てはうけまい。今夕、受け取ったおケイさん-河東けい-から…

ランプともせばわたしひとりの影が大きく

―日々余話― 2011逝き去りし人々警察庁調べによれば6日現在、死者15,844名・行方不明3,450名という東日本大震災の犠牲者― この国の歴史に否応なく大きな刻印を残すことになる「3.11」の年が暮れ、新しい年が明け早くも10日。 偏狭で渺々たる個の想像力から、こ…