2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

砂掘れば砂のほろほろ

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、10月12日の稿に 10月12日、晴、岩川及末吉町行乞、都城、江夏屋9時の汽車に乗る、途中下車して、岩川で2時間、末吉で1時間行乞、今日はまた食ひ込みである。-略- 今夜は飲み過ぎ歩き過ぎた、誰だか洋服を着た若い人が宿まで…

今のまに雪の厚さを指てみる

<連句の世界−安東次男「風狂始末−芭蕉連句評釈」より> 「空豆の巻」−25 客を送りて提る燭台 今のまに雪の厚さを指てみる 孤屋次男曰く、「送りて」とあるから付けて作りは送られる客の体である。 「今のまに」とは、時間の経過、雪の降り様、積り様を予測…

泣く子叱つてる夕やみ

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、10月11日の稿に 10月11日、晴、曇、志布志町行乞、宿は同前-鹿児島屋-9時から11時まで行乞、こんなに早う止めるつもりはなかつたけれど、巡査にやかましくいはれたので、裏町へ出て、駅で新聞を読んで戻つて来たのである。-…

客を送りて提る燭台

―世間虚仮― 振込め詐欺、やっと減少傾向本日、’09年版の警察白書が閣議に報告された。‘04年以降、毎年250億円超の被害を出してきたという振込め詐欺、その検挙率-‘08年-は全刑法犯に比し10point低く21.5%にとどまっているそうだ。犯人らの検挙をすれどもす…

故郷の人と話したのも夢か

―山頭火の一句―昭和5年の行乞記、10月10日の稿に 10月10日、曇、福島町行乞、行程4里、志布志町、鹿児島屋8時過ぎてから中町行乞2時間、それから今町行乞3時間、もう2時近くなつたので志布志へ急ぐ、3里を2時間あまりで歩いた、それは外でもない、局留の郵便…

着のまゝにすくんでねれば汗をかき

―世間虚仮― シャープ新工場とシベリア抑留今夕刊によれば、府内の市民団体「シャープ立地への公金支出をただす会」が、大阪府や堺市に対し、建設中のシャープ新工場への補助金や税優遇措置が違法として、差し止めを求める訴えを大阪地裁に起こしたという。 …

まゝよ法衣は汗で朽ちた

―山頭火の一句―昭和5年の行乞記、10月9日の稿に 10月9日、曇、時雨、行程3里、上ノ町、古松屋嫁の開けないうちに眼がさめる、雨の音が聞こえる、朝飯を食べて煙草を吸うて、ゆつくりしてゐるうちに、雲が切れて四方が明るくなる、大したこともあるまいといふ…

置わすれたるかねを尋ぬる

―四方のたより― 成田屋、稽古、そして‥一昨夜、3月以来のD.マリィらの「成田屋騒動」第2弾、いや今回は「鳴動!成田屋」と謳っていたか、を観るべく新世界へ。その前に丑の日も近いとて早い夕飯を四ツ橋のうな茂さんで食していたから、交差点の植栽の縁に腰…

窓をあけたら月がひよつこり

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、10月8日の稿に 10月8日、晴、后曇、行程3里、榎原、栄屋どうも気分がすぐれないので滞在しようかと思つたが、思ひ返して1時出立、少し行乞してここまで来た、安宿はないから、此宿に頼んで安く泊めて貰ふ、一室一人が何より…

泣事のひそかに出来し浅ぢふに

―世間虚仮― A Flash of Memory服飾デザイナー、世界のミヤケこと三宅一生が、ニューヨークタイムズに寄稿した話題の文章、そのタイトルが「A Flash of Memory-閃光の記憶-」だ。広島で7歳の時に母とともに被爆、3年後その母は原爆症で死亡したという被爆体験…

酔ひざめの星がまたゝいてゐる

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、10月7日の稿に 10月7日、晴、行程2里、目井津、末広屋-雨かと心配してゐたのに、すばらしい天気である、そここゝ行乞して目井津へ、途中、焼酎屋で藷焼酎の生一本をひつかけて、すつかりいい気持になる、宿ではまた先日来の…

はつち坊主を上へあがらす

―表象の森― NO NAME弱冠19歳の新人漫画作家が誕生、その名は大島千春-Pen name-、小学館の新人コミック大賞を受賞したという彼女の作品「 NO NAME」が、週刊BIG COMICスピリッツ7月20日号に掲載されている。漫画・劇画の類で記憶に残ると云えば、古くは白戸三…

子供握ってくれるお米がこぼれます

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、10月6日の稿に 10月6日、晴、油津町行乞、宿は同前-肥後屋-9時から3時まで行乞、久しぶりに日本酒を飲んだ、宮崎鹿児島では焼酎ばかりだ、焼酎は安いけれど日本酒は高い、私の住める場所ぢやない。 十五夜の明月も観ないで…

不届な隣と中のわるうなり

―世間虚仮― 謝って宮崎へ帰れ!ビートたけしが、自分を「総裁候補に」と売りつけ、凋落の自民をどっぷりと巻き込んだそのまんま東の騒動に、本人を掴まえて執拗に説教を垂れたという。「逆風どころじゃない、頭の毛が全部なくなるぞ!」とは、蓋し名言とは云…

秋暑い乳房にぶらさがつてゐる

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、10月5日の稿に 10月5日、晴、行程2里、油津町、肥後屋ぶらりぶらりと歩いて油津で泊る、午前中の行乞相はたいへんよかつたが、午後はいけなかつた。-略- 秋は収穫のシーズンか、大きな腹を抱へた女が多い、ある古道具屋に「…

ふとん丸けてものおもひ居る

―表象の森― 精神分析の臨床と日常語その著書「甘えの構造」はつとに知られるが、日本の精神分析、その黎明期をリードし後進に多大の影響を与えた土居健郎-5日死去、89歳-を悼む斎藤環の一文が、昨日の夕刊-毎日-に載っていた。 先達土居健郎の、卓越した臨床…

剥いでもらつた柿のうまさが一銭

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、10月4日の稿に 10月4日、曇、飫肥町、宿は同前-橋本屋-長い一筋道を根気よく歩きつづけた、かなり労れたので、最後の一軒の飲食店で、刺身一皿、焼酎二杯の自供養をした、これでいよいよ生臭坊主になりきつた。-略-今日は行…

雪の跡吹はがしたる朧月

Information – 四方館 DANCE CAFE –「出遊-天河織女篇-」―四方のたより― 今夜はダンスカフェ!弁天のオーク200でお逢いしましょう。 四方館亭主 林田鉄―表象の森― Body Gear、角正之の手法昨夜は、Dance Caféの前日というに、山田いづみからの熱い誘いもあっ…

Information – 四方館 DANCE CAFE –「出遊-天河織女篇-」―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、10月3日の稿に10月3日、晴、飫肥町、橋本屋 すこし寝苦しかつた、夜の明けきらないうちに眼がさめて読書する、一室一灯占有のおかげである、8時出立、右に山、左に海…

かれし柳を今におしみて

Information – 四方館 DANCE CAFE –「出遊-天河織女篇-」―四方のたより― めずらしく連チャン稽古昨日は夕刻の5時頃から、演奏の競演者たちに集まって貰ってリハーサル、今日は10時集合でいつものように稽古、わが四方館にすればめずらしい連チャンだが、即興…

お経あげてお米もらうて百舌鳥ないて

Information – 四方館 DANCE CAFE –「出遊-天河織女篇-」―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、10月2日の稿に 10月2日、雨、午后は晴、鵜戸、浜田屋 略-、私の行乞のあさましさを感じた、感ぜざるをえなかつた、それは今日、宮ノ浦で米1升5合あまり金10銭ばかり…

この春はどうやら花の静なる

Information – 四方館 DANCE CAFE –「出遊-天河織女篇-」―世間虚仮― そのまんま劇場、終幕昨日の朝刊トップ見出しに「東国原氏の入閣調整」と打った毎日新聞、今朝の紙面では一転「東国原氏起用見送り」とせざるをえなかった、そのまんま東の国政転身戦略に…

泊めてくれない村のしぐれを歩く

Information – 四方館 DANCE CAFE –「出遊-天河織女篇-」―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、10月1日の稿に 10月1日、曇、午后は雨、伊比井、田浦といふ家 略-、朝夕の涼しさ、そして日中の暑さ。今日此頃の新漬−菜漬のおいしさはどうだ、ことに昨日のそれはお…