2011-01-01から1年間の記事一覧

枯枝をひらふことの、おもふことのなし

―日々余話― 軽重-?-合わせてまたも月遅れの購入本報告。 やたら冊数ばかりが多くなったは、W選挙の所為もありまた原発関連もあり、さらには「深読みシェイクスピア」を読んだあと、暇な折々にひとわたり気楽に読んでみるのもいいかと、松岡和子訳のシェイク…

梅がもう春近い花となつてゐる

―日々余話― 凝り型となって‥久し振り、一ヶ月余を経ての言挙げである。 Facebookを始めたのが8月下旬頃だった− Twitterに比べれば、お互いの正体がはっきりしているのが性に合ったのだろう、とりわけ10月に入る頃から友達をどんどん増やして、ずいぶん凝り型…

月のわらやのしづくする新年がきた

―日々余話― 昭和32年卒組一次会・二次会あわせ、12時から6時過ぎまでの6時間余、僅か20人ばかりの同窓会も、世話役仕切役ともなると結構草臥れるものである。 前回が’06年の秋だからちょうど5年前、その間に3人の友が鬼籍となり、また3人が消息不明となってし…

月にほえる犬の声いつまでも

―表象の森― 断片化の迷走またまた旧聞に属するが、3日に京都へと出かけ、御所近くの府庁旧本館で行われた「すごいダンス」を観た。 といっても、12時の部と2時の部のプログラムの内、昼食休憩後に駆けつけるも大入り満員の為、後半のほうは見損なってしまっ…

つかれてもどるに月ばかりの大空

―表象の森― 榎忠展私感些か旧聞に属するのだけれど、このまま触れないで済ますのは少なからず「腹ふくくるわざ」にて、ここで言挙げしておく。 先週の土曜-10/15-、兵庫県立美術館に出かけ、先日亡くなった元永定正らの具体の作品を観、野外階段でDance Perf…

仕事のをはりほつかり灯つた

―表象の森― 最強Improviser +いつも神戸の酒心館で催される角正之の7回目となる舞打楽暦-まんだらごよみ-は、ヨーロツパ最強Improviserと称し、この10月、東京、横浜、名古屋、京都、神戸そして九州と、各都市12箇所を遍歴Tourする即興Trio、Soprano-Saxの…

なつめたわゝにうれてこゝに住めとばかりに

―日々余話― 子どもがとりもつ‥昨夜の宴の主役はどこまでもKAORUKO− 案ずるより産むが易し、まさに子どもがとりもったような形で、和やかに賑やかに終始した3時間余だった。〆はKAORUKOのお望み一番、狭い場所に押し込むようにして、みんなでプリクラに収まる…

秋の空から落ちてきた音は何

―日々余話― 御年10歳を機に‥秋もたけなわの10月半ばというに、昨日来の豪雨とは、些か憂鬱‥。 KAORUKOも今日で御年10歳なり、57歳のときの子であるから、いわば自身の老いとともに歩んできたことになるが、生後より来し方をふりかえれば、早いといえば早くも…

こどもほしや月へうたうてゐる女

―日々余話― 縮図夜来の雨もあがって、すっかり青空、暑くなった。 午前10時過ぎ頃、中加賀屋商店街の入口手前の公園を通りかかると、 50代半ばころか、ひとりの男が、なにやら叩きつけるように、大声で口走っている。 「病院に行けって? なんで行けるんだよ…

どかりと山の月おちた

―表象の森― 蛇状曲線的−痙攣的対比-コントラスト-と逆説-パラドックス-の「蛇状曲線様式」による幻視者的な「高速度撮影-像」は、ヨーロッパ精神史の中でいくつかの頂点を閲している。こうした「爆発的に凝固した」頂点の一つがティントレットの傑作、ヴェネ…

鳴くかよこほろぎ私も眠れない

―行き交う人々― 浜田スミ子篇RYOUKOの命日も近い10日だった。 長年音信の途絶えていた人から供物が届けられた。中身はお線香。 届け主は浜田スミ子、もう25、6年は逢っていない。添えられた書面には、 「逆縁」拝読しました。 本のタイトルに心がざわつきま…

樹影雲影に馬影も入れて

―日々余話― たまらぬ残暑に‥からだが怠い、いささか夏バテ‥‥。とにかく蒸し暑い‥、今日はいったい何日だっけ? 9.14‥、とたんにはっと気づいた、RYOUKOの‥‥。 そうだ、礼状を書かなければ‥、遠い昔の知友から供物の線香が届いていた、二、三日前だ。 春先に…

萩の一枝にゆふべの風があつた

―日々余話― たった一泊の白馬、あわただしい休日−ラフオーレ白馬美術館でChagallを鑑賞、銅版、木版の、多くの板画が展示されていた。彼の生涯と作品を解説する映像は、入門には好適。宿泊のログハウスは、もうかなり年代物だが、それでも家族水入らずの一夜…

また逢ふまでのくつわ虫なく

―表象の森― <日暦詩句>-45 「眼」 西脇順三郎白い波が頭へととびかゝつてくる七月に 南方の奇麗な町をすぎる。 静かな庭が旅人のために眠つてゐる。 薔薇に砂に水 薔薇に霞む心 石に刻まれた髪 石に刻まれた音 石に刻まれた眼は永遠に開く。 ―詩集「Ambarv…

起きるより土をいぢつてゐるはだか

―日々余話― 三年前の今日とうとう、か‥、やっと、か‥、 とにかくも、あの夜から、丸三年が経ったあの、忌まわしい事故が起きたのは、午後8時15分頃 私の携帯に、報せが入ったのは、午後9時を少し過ぎていたか‥事故直後より、おまえは、ただ眠りつづけ、5日後…

日照雨ぬれてあんたのところまで

―山頭火の一句― 行乞記再び-昭和7年-2429月8日、酔中、炊いたり煮たり、飲んだり食べたりして、それを片付けて、そのままごろ寝したと見える、毛布一枚にすべてを任しきつた自分を見出した。 雨がをりをりふるけれど、何となくほほゑまれる日だ。 -略- 其中…

枯れようとして朝顔の白さ二つ

―日々余話― 由らしむべし知らしむべからずそのとき、私は愕然とした――そうか、そうだったのか、それが事の本体か‥、なんということ、これは‥、この問題は、そういことだったのか。問題の渦中にある者、それがのっぴきならない問題であればあるほど、肝心の当…

まがつた風景そのなかをゆく

―四方のたより― 樹木希林のCM-雑草篇「やっぱりひとりがよろしい雑草」と、山頭火のよく知られた句を呟く樹木希林―― バツクには福山雅治が歌う「家族になろうよ」が流れ、 ややあって、前句をひとひねりしたかのように「やっぱりひとりじゃさみしい雑草」と…

雨ふるふるさとははだしであるく

―四方のたより― 鳴り物入りの不発弾台風12号は山陰沖に去ったというのに、なお近畿南部などには豪雨警報もあり、台風一過とはなかなかいかないらしい。 その台風襲来のなか、3、4日の両夜、木津川縁の一隅で催されているのが件の催し。音楽、ダンス/舞踏、…

いちじくの実や、やつとおちついた

―四方のたより― 異常台風台風12号の上陸もまぢかというのにずいぶんと蒸し暑い。 それにしても異常な進路、うろうろ、のろのろと、今年の台風は従来型からほど遠いのは、どうにも気にかかるが、そういった問題については、気象庁なども情報が乏しい。<日暦…

後悔の朝の水を泳ぎまはる

―四方のたより― 茶谷祐三子のインド舞踊講座インド古典舞踊Odissi Danceを踊る花の宮こと茶谷祐三子から講座開設の案内が送られてきた。1989(S64)年6月4日の天安門事件、その2週間前の5月19日から24日、われわれ一行は上海・瀋陽・北京を巡っていた。一行とは…

雨の蛙のみんなとんでゐる

―四方のたより― 大塔村星の国後醍醐の皇子護良親王が拠った大塔宮にその名を由来する大塔村は、地図上ではすでに姿を消してしまっている。 旧大塔村は、隣接した吉野郡西吉野村とともに、’05年9月、五條市に合併編入されていたのだ。現在は五條市大塔町。 そ…

稲妻する過去を清算しやうとする

−表象の森― 今月の購入本・B.エルンスト「エッシャーの宇宙」朝日新聞社 エツシヤー自身との共同作業で、その全作品の制作動機やアイデアなどの成長過程をまとめあげた労作。訳は坂根巌夫、初版’83年刊の第15刷版-‘90-の中古書・ヘーゲル「歴史哲学講義 上」…

風のトマト畑のあいびきで

―山頭火の一句― 行乞記再び-昭和7年-2328月29日、厄日前後らしい空模様である、風のために木まで動く、炊事、掃除、読書、なかなか忙しい。 処方の知友へ通知葉書を出す、三十幾つかあって、ずゐぶん草臥れた。-略- 新居第一日に徹夜して朝月のある風景では…

秋風のふるさと近うなつた

―四方のたより― 琵琶のゆかた会今夏で3回目となる筑前琵琶奥村旭翠門下の「ゆかた会」が、今日の午後、藤井寺駅近くの料亭こもだで催された。 毎年2月の「びわの会」は欠かしたことはないが、このゆかた会に関しては前2回とも失礼してきた。三度目のなんとや…

けふはおわかれのへちまがぶらり

―四方のたより― ご帰還先週来トラブルのPCが修理を終え、ご帰還あそばした。 修理報告書に曰く、マザーボードとパワーサプライを交換した、と。 今夏の暑熱地獄ではかなくも炎上?したものとみえる。 保証期間を2年としていたからよかったものの、でなければ…

いつも一人で赤とんぼ

―山頭火の一句― 行乞記再び-昭和7年-2298月26日、川棚温泉、木下旅館 秋高し、山桔梗二株活けた、女郎花一本と共に。 いよいよ決心した、私は文字通りに足元から鳥が飛び立つやうに、川棚をひきあげるのだ、さうするより外ないから。‥‥ 形勢急転、疳癪破裂、…

一人となればつくつくぼうし

―表象の森― 感覚と脳と心と人間の知覚システムの研究が進むに従って、知覚と実在の関係そのものが変わってきた。色や味や音や匂いは、人間の脳が処理して初めて「存在」するからだ。物質の塊があってそこから揮発する分子があったからといって、「匂いが存在…

家をめぐる青田風よう出来てゐる

―表象の森― <日暦詩句>-42 「崖」 石垣りん戦争の終り、 サイパン島の崖の上から 次々に身を投げた女たち。美徳やら義理やら体裁やら 何やら。 火だの男だのに追いつめられて。とばなければならないからとびこんだ。 ゆき場のないゆき場所。 (崖はいつも…

逢うて別れる月が出た

―表象の森― 金子光晴Memo 「おれは六十で 君は、十六だが、 それでも、君は おれのお母さん。 ‥‥‥‥‥‥‥ 」 −光晴「愛情2」金子光晴を語ろうとすることが、われにもあらず、なぜ日本男性攻撃へと傾くのだろうか? このたびの、これは一つの発見だ。−茨木のり子…