2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

雨の蛙のみんなとんでゐる

―四方のたより― 大塔村星の国後醍醐の皇子護良親王が拠った大塔宮にその名を由来する大塔村は、地図上ではすでに姿を消してしまっている。 旧大塔村は、隣接した吉野郡西吉野村とともに、’05年9月、五條市に合併編入されていたのだ。現在は五條市大塔町。 そ…

稲妻する過去を清算しやうとする

−表象の森― 今月の購入本・B.エルンスト「エッシャーの宇宙」朝日新聞社 エツシヤー自身との共同作業で、その全作品の制作動機やアイデアなどの成長過程をまとめあげた労作。訳は坂根巌夫、初版’83年刊の第15刷版-‘90-の中古書・ヘーゲル「歴史哲学講義 上」…

風のトマト畑のあいびきで

―山頭火の一句― 行乞記再び-昭和7年-2328月29日、厄日前後らしい空模様である、風のために木まで動く、炊事、掃除、読書、なかなか忙しい。 処方の知友へ通知葉書を出す、三十幾つかあって、ずゐぶん草臥れた。-略- 新居第一日に徹夜して朝月のある風景では…

秋風のふるさと近うなつた

―四方のたより― 琵琶のゆかた会今夏で3回目となる筑前琵琶奥村旭翠門下の「ゆかた会」が、今日の午後、藤井寺駅近くの料亭こもだで催された。 毎年2月の「びわの会」は欠かしたことはないが、このゆかた会に関しては前2回とも失礼してきた。三度目のなんとや…

けふはおわかれのへちまがぶらり

―四方のたより― ご帰還先週来トラブルのPCが修理を終え、ご帰還あそばした。 修理報告書に曰く、マザーボードとパワーサプライを交換した、と。 今夏の暑熱地獄ではかなくも炎上?したものとみえる。 保証期間を2年としていたからよかったものの、でなければ…

いつも一人で赤とんぼ

―山頭火の一句― 行乞記再び-昭和7年-2298月26日、川棚温泉、木下旅館 秋高し、山桔梗二株活けた、女郎花一本と共に。 いよいよ決心した、私は文字通りに足元から鳥が飛び立つやうに、川棚をひきあげるのだ、さうするより外ないから。‥‥ 形勢急転、疳癪破裂、…

一人となればつくつくぼうし

―表象の森― 感覚と脳と心と人間の知覚システムの研究が進むに従って、知覚と実在の関係そのものが変わってきた。色や味や音や匂いは、人間の脳が処理して初めて「存在」するからだ。物質の塊があってそこから揮発する分子があったからといって、「匂いが存在…

家をめぐる青田風よう出来てゐる

―表象の森― <日暦詩句>-42 「崖」 石垣りん戦争の終り、 サイパン島の崖の上から 次々に身を投げた女たち。美徳やら義理やら体裁やら 何やら。 火だの男だのに追いつめられて。とばなければならないからとびこんだ。 ゆき場のないゆき場所。 (崖はいつも…

逢うて別れる月が出た

―表象の森― 金子光晴Memo 「おれは六十で 君は、十六だが、 それでも、君は おれのお母さん。 ‥‥‥‥‥‥‥ 」 −光晴「愛情2」金子光晴を語ろうとすることが、われにもあらず、なぜ日本男性攻撃へと傾くのだろうか? このたびの、これは一つの発見だ。−茨木のり子…

星あかりをあふれくる水をすくふ

―四方のたより― 丸一年でPCダウン私が日ごろ主に使ってきたPCは、DELL製品のInspiron Desktop 580S、いわゆるスリム型というやつ。 昨年8月上旬に購入したものだから、ちょうど1年経ったばかりというのに、あろうことかこ奴、一週間ばかり前に突然ダウンした…

うぶすなの宮はお祭のかざり

―表象の森― <日暦詩句>-41 「他人の空」 飯島耕一鳥たちが帰つて来た。 地の黒い割れ目をついばんだ。 見慣れない屋根の上を 上つたり下つたりした。 それは途方に暮れているように見えた。空は石を食つたように頭をかかえている。 物思いにふけつている。…

ふるさとの空の旗がはたはた

―四方のたより― 橋下知事のいかがわしさどうも夏バテのようだ、この二日、寝ると爆睡といった調子だし、起きても身体が怠いし重い。ところで、橋下知事がWTCへの府庁舎移転を断念した、のニュースが朝から躍っている。 3.11の東北大地震の際、震度3で思わぬ…

けさも青垣一つ落ちてゐて

―山頭火の一句― 行乞記再び-昭和7年-2218月18日、近来にない動揺であり、そしてそれだけ深い反省だつた、生死、生死、生死、生死と転々とした。 アルコールよりもカルチモンへ、どうやらかういふやうに転向しつつあるやうである、気分の上でなしに、肉体に於…

あてもない空からころげてきた木の実

―表彰の森― 聖職者ジャン・メリエの悲劇ジャン・メリエ-1644〜1729-、フランス北東部アルデンヌ地方の寒村で、一介の司祭としてなんの波風もなく40年間の長きを務めあげた彼は、その陰で「すべての宗教は誤謬とまやかしとペテンにすぎない」といった驚くべき文…

虫が鳴く一人になりきつた

―四方のたより― ゲノム解析私の読んでいるメルマガ「明快!森羅万象と百家万節の系譜」によると、ゲノム解析はめまぐるしく進み、そのコストは飛躍的に安価になってきているという。以下は8/13付のメルマガから−「DNA を読み書きするためのコストは、この10 …

ふるさとの蟹の鋏の赤いこと

―四方のたより― えっ、朝刊休み?今日は終戦記念日だが、新聞大手五紙は休刊となっている。 はて、こんなことはこれまでにあったのだろうか? どうも記憶がないが‥、初めてじゃないのかしらん、とすると少々問題だろう、なにも今日でなくとも、8日でも22日で…

夏草ふかく自動車乗りすてゝある夕陽

―四方のたより― 闘病、この残酷なるもの妹の亭主殿、ようするに義弟だが、今年64歳の彼が、昨年11月末頃に肺癌を発症した。健康診断のレントゲンでひっかかり、精密検査をしたところ判明したわけだが、それより以前のほぼ2年間、彼は糖尿病の新薬であるDU-17…

ふるさとの水だ腹いつぱい

―四方のたより― KAORUKO紙芝居板「北の旅」最終篇 「六日目 七月二九日」 宿のすぐそばに黒岳ロープウェイの乗り場があります。私たちもロープウェイに乗って、山に行き景色を見たり散歩をしました。 層雲峡から旭川の旭山動物園までは一時間くらいで行きま…

朝焼すゞしいラヂオ体操がはじまりました

―四方のたより― KAORUKO紙芝居板「北の旅」その3 「四日目 七月二七日」 宿を出たのは八時。曲がりくねった峠を越えると、屈斜路湖が見えてきました。湖を左に見ながらしばらく走って、摩周湖の展望台に着きました。摩周湖は不思議な湖です。水面がちっとも…

去る音の夜がふかい

―四方のたより― KAORUKO紙芝居板「北の旅」その2 「二日目 七月二五日 朝食の後、すぐに出発して、一時間くらい走ったら、支笏湖のそばにある苔の洞門に着きました。苔だらけの大きな岩がいっぱいでびっくりしました。案内のおじさんが三人の写真を撮ってく…

炎天の電柱をたてようとする二三人

―四方のたより― KAORUKO、奮闘中KAORUKOの学校の、夏休みの自由作品に、紙芝居風に「北の旅」のアルバムを作ろうと、本人はもちろんだが、親父殿-私のことだ-も一緒に、只今奮闘中である。 題して「2011夏、北海道2000?の旅」」、作品は四切り画用紙8枚の大…

秋草や、ふるさとちかうきて住めば

―表象の森― <日暦詩句>-40 「卵」 吉岡実神も不在の時 いきているものの影もなく 死の臭いものぼらぬ 深い虚脱の夏の正午 密集した圏内から 雲のごときものを引き裂き 粘質のものを氾濫させ 森閑とした場所に うまれたものがある ひとつの生を暗示したもの…

秋めいた雲の、ちぎれ雲の

―表象の森― 一抹の違和「マロニエの花が言った-下巻-」やっと読了。 その終りはやや唐突気味に幕を下ろした感があるが、それにしても愉しくも長い旅路だったように思う。 この詩と散文と批評の壮大な織物が書き起こされたのは1989年、月刊誌「新潮」の1月号…

すずしく自分の寝床で寝てゐる

―四方のたより― 季節が移りつつ‥夕食の後、ベランダに出て煙草を一服。かすかな涼風が心地よい。西南の空には八日の月か、右から左から盆踊りの唄が競うように聴こえてくる。この頃になると過ぎゆく夏を感じて、なんだか和やかな気に満たされてくるような、…

ふるさとの水だ腹いつぱい

―四方のたより― おみやげ? どうせ一回こっきりの北の国への旅なれば、なにがしか記念になるものを購ってもよかろうと買い求めたのが写真の、つがいの島梟とグラスたち。 ―山頭火の一句― 行乞記再び-昭和7年-2088月5日、曇、眼がさめるとまたビールだ、かう…

お墓の、いくとせぶりの草をぬく

―表象の森― 光晴と貘、承前1943年ごろ、二人でよく戦争のさなかの東京の町を歩き、二人にしか通じない、そして他の人たちに喋ると危険なことを、まったき信頼のうちに語り合った。それは文壇、詩壇、政治、戦争などを思いきりこきおろし、その後が爽快な気分…

松もあんなに大きうなつて蝉しぐれ

―表象の森― 光晴と貘ひさしぶりに清岡卓行の「マロニエの花が言った-下巻-」を読み継いでいる。 上巻を読み終えたのはもう3年余り前、その折、次いで下巻に取りかかったものの、すぐ積読状態になって、そのまま年月ばかりが過ぎ去ってきたが、それでも鮮烈な…

あかつきのどこかで何か搗いてゐる

―四方のたより― 山頭火ふるさと会のことなど今日の「山頭火の一句」、その行乞記にあるごとく、この日、山頭火は大種田破産で故郷を追われる直接の因ともなった種田酒造場のあった大道に、妹とその縁戚を訪れているのだが、この一事に因んでちょうど10年前に…

逢へてよかつた岩からの風に

―四方のたより― 螺線館だより 一週間の北の旅に発つ二日前だったか、ベルリンを拠点に活動をつづける「螺線館」の嶋田三朗君から近況を知らせる便りがあった。 暑中お見舞い申し上げます ―2011年7月22日 みなさまのご活躍とご健康をお祈りします。 2月に上演…