2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

さいさいながら文字問ひにくる

―表象の森― 予感と徴候、余韻と索引<A thinking reed> 中井久夫「徴候・記憶・外傷」みすず書房より・生きるということは、「予感」と「徴候」から「余韻」に流れ去り「索引」に収まる、ある流れに身を浸すこと。予感と徴候、余韻と索引、これら両者は現実…

秋の田をからせぬ公事の長びきて

―世間虚仮― Nepal、共和制へいよいよと云うかやっとと云うか、ネパールが王政から共和国へと移行したと伝えられている。28日、新憲法を制定する憲法制定議会は、240年続いた王制の廃止と連邦共和制の導入を宣言して新生国家としての歴史的第一歩を踏み出し、…

砧も遠く鞍にゐねぶり

―表象の森― 稗田阿礼は女?古事記の編纂者と伝えられてきた稗田阿礼は女だったという説が有力なようである。女性説は民俗学の柳田国男や国文学の西郷信綱も唱えているそうな。 古事記序文には舎人とあるから、従来男性と考えられてきたわけだが、女性説は平…

行月のうはの空にて消さうに

―四方のたより― 行き交う人々:池田万太郎こと‥一コマ漫画の「池田万太郎の楽画記」を一頁ずつ見、読みつつ、ひととき、遠い昔の高校時代を甦らせている。作者万太郎こと池田義徳さんは先日も触れたが市岡の13期生、2年上だ。その面影を追えば、一見おっとり…

あの雲はたがなみだつゝむぞ

―表象の森― 向こう側から見る−親鸞の還相吉本隆明の「老いの流儀」-NHK出版-のなかに、親鸞の思想、とりわけ「還相」の捉え方を分かり易く説いてくれている一章がある。以下はその論旨に沿って要約してみたもの。親鸞の場合、「本当の死」とは、肉体の死でも…

あやにくに煩ふ妹が夕ながめ

―表象の森― ふたつの画集市岡OB美術展の最終日-5/24-、閉館も近い午後4時前の現代画廊は、生憎の雨模様にもかかわらず、懇親会に集った関係者で溢れていた。常連の出品者らはほぼ顔を揃えていたのはもちろんだが、生物の小椋さんのほか見知らぬ顔ぶれも幾人…

垣穂のさゝげ露はこぼれて

<連句の世界−安東次男「風狂始末−芭蕉連句評釈」より>「雁がねの巻」−26 ほとゝぎす鼠のあるゝ最中に 垣穂のさゝげ露はこぼれて 芭蕉次男曰く、天井裏で鼠が暴れれば垣根の大角豆-ササゲ-が驚いて露を零-こぼ-す、というユーモアにはしほりがある。二句一…

ほとゝぎす鼠のあるゝ最中に

―世間虚仮― 暴君ネロとや橋下徹大阪府知事によるPT案-財政再建プログラム試案-が矢継ぎばやに次々と出され嵐となって吹き荒れている。今日も今日とて給与12%カットの報が所狭しと紙面に躍っている。おまけに聖域と云われた退職金まで当分の間5%カットとい…

初瀬に籠る堂の片隅

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)作者: 渡辺京二出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2005/09/05メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 24人 クリック: 335回この商品を含むブログ (182件) を見る―表象の森― 逝きし世の面影英国の商人クロー-Arthur H. Crow…

人去ていまだ御坐の匂ひける

―世間虚仮― QahwahからCoffeeへ日なが家に居て、本を読んだり、パソコン相手にMemoをとったりと過ごしていると、どうしても喫煙や喫飲の量が多くなる。私の場合、飲料のほうはもっぱら珈琲、それも安上がりで手間のかからぬインスタント一辺倒だ。そのコーヒ…

ものおもひゐる神子のものいひ

―表象の森― 重さに聴く先の日曜-18日-は例によって稽古だったが、靱帯損傷のYukiは相変わらず顔を出せないから、JunとAyaのふたりっきりだ。そこでいつになく趣向を変えて少し私流に拘ってみた。先ずはひとしきり「ゆすりふり」をさせて、それから足を肩幅ほ…

家なくて服裟につゝむ十寸鏡

―世間虚仮― 赤い天地:砺波平野の散居村風景写真は毎日新聞5/17付夕刊より拝借一昨日の土曜日-17日-は、同じマンションに住む新一年生のお嬢さん母娘を誘ってまたまた蜻蛉池公園へと出かけた。いわば人見知りが強いひとりっ娘の友だちづくりにわざわざ親が手…

みせはさびしき麦のひきわり

写真は岸本康弘と学舎の子どもたち―四方のたより― 岸本康弘帰る昨日-16日-、岸本康弘がネパールから帰ってきた。 自ら運営するポカラの岸本学舎へ赴くため発ったのが昨年の11月20日ごろだったか、ほぼ半年ぶりの帰国である。ソウル経由の搭乗便が関西空港に…

破れ戸の釘うち付る春の末

―四方のたより― 市岡高校OB美術展「2008市岡高校OB美術展」のお知らせである98年11月、故・辻正宏一周忌に因み偲ぶ会として催された「いまふたたびの‥市岡文化祭」を本展の第1回とするなら、今回は数えてちょうど10回目にあたるのではないか。2回目以降、昨…

雲雀さへづるころの肌ぬぎ

王法と仏法―中世史の構図作者: 黒田俊雄出版社/メーカー: 法蔵館発売日: 2001/12/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (12件) を見る―表象の森― 顕密体制:王法と仏法<A thinking reed> 黒田俊雄「王法と仏法」法蔵館より「顕密体制論」…

月と花比良の高ねを北にして

―世間虚仮― 四川省の大地震に中国四川省にM7.8の大地震発生の報道に衝撃を受けつつ、彼の地は世界有数の地震頻発地帯であったということをいまさらながら思い知らされ些か暗澹とした気分。 そうだった、およそ7000万年前の白亜紀、インド・オーストラリアプ…

物いそくさき舟路なりけり

―表象の森― 何処より来たりて篠田謙一著「日本人になった祖先たち」-副題:DNAから解明するその多元的構造-によれば、 現在のDNA分析と化石の研究といった知見から、現代人に直結する新人は20万年〜10万年前にアフリカにあらわれ、出アフリカは8万5000年〜5…

手もつかず昼の御膳もすべりきぬ

―世間虚仮― ミャンマー、サイクロン無惨DAYS JAPAN 5月号の表紙を飾っていたのは、昨年の9月27日、ミャンマーのヤンゴンで民主化デモ鎮圧の銃撃で凶弾に倒れたフォト・ジャーナリスト長井健司氏が映ったあの写真だった。第4回DAYS国際フォトの特別賞としての…

かぜひきたまふ声のうつくし

<連句の世界−安東次男「風狂始末−芭蕉連句評釈」より>「雁がねの巻」−14 きぬぎぬやあまりかぼそくあてやかに かぜひきたまふ声のうつくし 越人次男曰く、其の人-男-の感想の伸しである。 前句の「あまり」は、作った芭蕉の側から云えば語勢で、とりたてて…

きぬぎぬやあまりかぼそくあてやかに

<連句の世界−安東次男「風狂始末−芭蕉連句評釈」より>「雁がねの巻」−13 足駄はかせぬ雨のあけぼの きぬぎぬやあまりかぼそくあてやかに 芭蕉次男曰く、「雨のあけぼの」は、単なる恨めしさでも噂でもない、と諒解した後朝の付である。前句が女の男に対す…

足駄はかせぬ雨のあけぼの

―世間虚仮― 熊本県知事蒲島郁夫先頃自らの報酬を月額100万円カットした知事が話題になっていたが、今朝の毎日新聞「ひと」欄ではそのご当人、熊本県知事の蒲島郁夫氏が紹介されていた。 政治学を講じる東大教授からの転身という、それだけのことなら格別驚く…

此里に古き玄番の名をつたへ

―表象の森― 承前:高槻ジャズでオツカレ件の高槻ジャズに出かけて、昨日は家族一同おつかれさん。実はデカルコ・マリィに呼応してうちのDancerの小嶺由貴が競演しようと、岡林綾も誘って二人して出演する筈だったのである。ところが前夜になって、先に痛めて…

ひとり世話やく寺の跡とり

―表象の森― 高槻ジャズストリート今朝の紙面にも紹介されていたが、「高槻ジャズストリート」なるイベントがある。明3日と4日の両日、その名の通りジャズをメインに全国からミュージシャンが集結、99年から開催され10回目を迎えた今年は、参加のミュージシャ…

いそがしと師走の空に立出て

―世間虚仮― 皐月朔日今年も早や4ヶ月が過ぎた。 3月末の参議院による審議時間切れで撤廃されたガソリンなどの暫定税率が、昨日、衆議院の再可決で復活。 安いガソリンの供給も僅か1ヶ月、一炊の夢と消え元の木阿弥。御多分に洩れず私もまた昨夕セルフのGSに…