2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

波止場、狂人もゐる

−日々余話− 今月もまた‥見てのごとく、今月も石川九楊の書史論ばかりが並ぶ。 「日本書史」は2001年9月刊、翌年の毎日出版文化賞。 彼はその序章の小論で「途中乗車し、途中下車した」日本の書史と、ユニーク且つ些かセンセーショナルな言い方をしている。 …

すつかり剥げて布袋は笑ひつヾけてゐる

−表象の森− 清代諸家-古代への憧憬-6 石川九楊編「書の宇宙-22」より最後の書家−趙之謙書の歴史をずっとながめていくと、明らかに、清代の書の中でも訒石如から書は一変し、その雰囲気を維持しつつ、趙之謙で書は終ったという感を深めないではいられない。「…

冬雨の石階をのぼるサンタマリヤ

−表象の森− 和訓=文字の成立 山城むつみ「文学のプログラム」-講談社文芸文庫-より−2「和訓の発明とは、はつきりと一字で一語を表はす漢字が、形として視覚に訴へて来る著しい性質を、素早く捕へて、これに同じ意味合を表す日本語を連結する事だつた。これが…

けふもあたたかい長崎の水

−表象の森− 日本語の構造 ・山城むつみ「文学のプログラム」-講談社文芸文庫-より−1「本当に語る人間のためには、はを注釈するのに十分です。お互いを結びつけているベンチは、それらが焼きたてのゴーフルのように新鮮なまま出てくるところをみると、実はそ…

街はづれは墓地となる波音

−日々余話− Soulful Days-35- 子の罪、親の罪つ−じ−blogとタイトルしたブログがある。プロフイール欄には、先ず氏名-これは間違いなく本名だ-を載せ、つづけて「大阪生まれのぐうたらなウエイクボーダーです。今年でプロ3年目です。ぼちぼちがんばってます。…

寒空の鶏をたゝかはせてゐる

※表題句は、2月1日記載の句−世間虚仮− アメリカの貧困化堤未果の「貧困大国アメリカⅡ」-岩波新書-を読む。米国の構造的な貧困化問題を現場から丁寧に取材したルポではあろう。 全体を4章に分かつ。1にビジネス化した学資ローン問題、2は崩壊する年金等社会保…

黒髪の長さを汐風にまかし

−四方のたより− 小さな拍手2週間ぶりの稽古、AYAがイギリスに発って、JUNKOだけの独りっぼっちの稽古が、この先2ヶ月ばかり続くことになる。だが案ずるよりも産むが易し−、10分と12分半ほどの即興をやらせてみたが、やはりJUNKOの場合は、解放度の問題だとい…

水音の梅は満開

−日々余話− 寡黙なる巨人の訃報 おれは新しい言語で 新しい土地のことを語ろう むかし赦せなかったことを 百万遍でも赦そう 老いて病を得たものには その意味がわかるだろう 未来は過去の映った鏡だ 過去とは未来の記憶に過ぎない そしてこの宇宙とは おれが…

城あと茨の実が赤い

※表題句は1月24日記載の句−日々余話− Soulful Days-34- 若い検事と弁護士と一昨日は、大阪地検へ参上して若い気鋭の検事と面談、午前10時から1時間半に及ぶ。 二日おいて今日も午前10時から、これまた若い国選弁護人と面談、此方は被告のMとともにだったから…

しんじつ玄海の舟が浮いてゐる

※表題句は1月25日記載の句−表象の森− 清代諸家-古代への憧憬-2 石川九楊編「書の宇宙-22」より伊秉綬−イヘイジュ−は、蠟石如ほど秦漢の文字の再現に満ち足りることはなく、むしろ、金農の後継者でもあるがごとくに、篆書とも隷書とも楷書ともつかぬ独創的な…

枯山越えてまた枯山

−世間虚仮− 4月穀雨の雪郡山で雪が降る、とニユース映像が流れる。 強い寒気と低気圧などの影響で、福島県内は郡山市や白河市などで朝から雪が降っている。気温も上がらず午前11時々点、郡山市で0°4、白河市で0°6など真冬並みの寒さ、白河では11時現在3?の積…

ぐるりとまはって枯山

―山頭火の一句― 行乞記再び -38- 1月30日、晴、暖、滞在、宿は同前、等々々。お天気はよし、温泉はあるし、お布施はたつぷり-解秋和尚から、そして緑平老からも-、どまぐれざるをえない。一浴して一杯、二浴して二杯、そしてまた三浴して三杯だ、百浴百杯、…

ひかせてうたってゐる

−世間虚仮− 水了軒の倒産夕刊に、駅弁の水了軒-破産申し立て、の小さな記事。明治21-1888-年創業というから、120年余の老舗企業だが、長期不況に加え、直近の1000円高速料の影響下で、とうとう倒産の仕儀にいたったという。ピーク時の'92年には売上高46億円…

父によう似た声が出てくる旅はかなしい

−世間虚仮− 8.82%!イヤ驚いた、補選とはいえ、投票率が8.82%とは聞いたことがない、前代未聞の低率だろう。昨日18日に投票された東広島市議補選での出来事だそうだが、有権者数は138,341人で、投票者数は12,204人だったと。この補選、当初は市長選挙と同…

山路きて独りごというてゐた

−日々余話− Antinomyどうしたことか土、日と休日なのになんだか疲労を溜め込むような二日間だった。9時過ぎに家を出て、KAORUKOとJUNKOを阿倍野区民センターへ送り込む。年に一度のピアノ教室の発表会だ。 その足で母校同の窓会館へ車を走らせる。遅刻するか…

ふりかへる領巾振山はしぐれてゐる

―日々余話― 古稀の人次兄の誕生日は、たしか4月3日だった、満70歳、めでたく古稀を迎えたわけだ。その細君は、私と同い年-今年66歳-だが、10数年前の交通事故が遠因となっていると目されるのだが、7.8年前から高次脳機能障害がみられるようになり、症状は歳…

港は朝月のある風景

―世間虚仮― 麻薬と毒品今朝の新聞「木語」欄によれば、日本で麻薬と総称されている覚醒剤やヘロイン、これが中国では毒品というそうな。中国の刑法-第357条-は、毒品の売買を禁じており、毒品とはアヘン、ヘロイン、覚醒剤、モルヒネなどであると例示してい…

朝凪の島を二つおく

―日々余話― 一分の良心ありやなしや論語に曰く「女子と小人とは養い難し、之を近づくれば則ち不遜、之を遠ざくれば則ち怨む」、都合が悪くなると手のひら返すも平気の平座、自分勝手で厚顔無恥な御仁にも、僅かに良心の欠片があるやもしれぬと、微かな期待を…

蘭竹もかれがれに住んでゐる

−日々余話− Soulful Days-33- 一矢報いるか?昨日、知友でもある衆議院議員熊田あつし君宛と、厚生労働省医政局医事課試験免許室宛に、以下の書面を簡易書留にて送付した。 厚生労働大臣 長妻昭 殿 第104回医師国家試験受験者、T.K儀 昭和×年×月×日生 住民登…

松風のよい家ではじかれた

−表象の森− SatieもPaganiniもいつもの稽古だが、いつもとは違う、今日の稽古でAyaは2ヶ月あまり遠離ることになるのだから、入念にとはいかないまでも、しっとりした気分で、いい時間が送れればいい。Ayaはちょつぴり昨日の疲れを残し、Junkoにいたってはと…

けふのおひるは水ばかり

−四方のたより− 警官出動「咲RUN成田屋」、このたびはデカルコ・マリィ、なぜだか十八番を踊った。そのためであろう、午後4時半と7時半の本番2回のみとなったので、KAORUKOを連れて4時過ぎから滞在したこの身には、長丁場の休憩タイムをやり過ごすのにひと苦労…

山へ空へ摩訶般若波羅蜜多心経

−四方のたより− 推参!「咲RUN成田屋」この月半ばから、Ayaがイギリスへと旅立つ。行先は西部のウェールズ地方とか、2ヶ月余り滞在してくるといっている。ならば、送別会代わりに何かないかと考えて、ちょうど頃合いもよしとばかり、デカルコ・マリィたちの成田…

松に腰かけて松を観る

−日々余話− 澪標、一枚の原稿毎年2月の第1土曜日を開催日と定め、今年は3度目となった新年会。2月6日の夕刻、所は梅田界隈のがんこ阪急東通店、集った期友36名、総会に比べるととけっして多くはないが、一年振りの語らいの宴に和気藹々と思い思いの談笑に花…

波音の県界を跨ぐ

−表象の森− 無限微動筆蝕石川九楊編「書の宇宙 -21-さまざまな到達・清代諸家?」よりリズム法の解体による筆蝕の無限微動化は、筆蝕の強靱化、多様化のみならず、字形の多様化をもたらした。鄭燮-テイショウ-の「懐素自叙帖」に至っては、隷書、楷書、行書をモ…

沿うて下る枯葦の濁り江となり

−日々余話− 無惨!翔く二人共演シーンのない二人の競演は、各々がOnstageを行うという形で、最低限の演りたいだけをやったから、結果、観客は正味二人分のshowに付き合わされることに‥。午後6時からDinnerが、6時50分からshowがはじまり、9時半までかかるだ…

いつまで旅する爪をきる

−表象の森− 無限微分折法石川九楊編「書の宇宙 -21-さまざまな到達・清代諸家?」より明末連綿草を経て、折法-リズム-は相対化され、揚州八怪の時代に至ると、ついに折法から自由になった。秦の始皇帝時代に、いわば一折法-字画の成立。字画−線という単位が成…

山寺の山柿のうれたまま

−表象の森− 松浦ゆみ讃青いお空の底ふかく、 海の小石のそのやうに、 夜がくるまで沈んでる、 晝のお星は眼にみえぬ。 見えぬけれどもあるんだよ、 見えぬものでもあるんだよ。晝のお星は眼にみえぬ。 見えぬけれどもあるんだよ、 見えぬものでもあるんだよ…

朝から泣く児に霰がふつてきた

−表象の森− ゆみのための、Narration Profile −以下は、昨夜、書き上げた原稿。・浪速の都大阪の北、関西随一を誇る梅田を中心とした繁華街を、東に少し外れると、学問の神様・天神さんで名高い、菅原道真公を祀る天満宮がある。 近頃は、その鳥居を挟んだ門…

けふは霰にたたかれて

−日々余話− 火事騒ぎ!エイプリル・フールの話じゃない。 夕刻、6時を過ぎた頃だ、階下の中一の子どもが大慌てで、「火事です! すぐ出てください」と玄関で叫ぶ。よく判らぬが、どうやら真下の部屋の台所で火が出たらしい。怖がるKAORUKOの手を引っ張るよう…