2007-01-01から1年間の記事一覧

夢のうちも移ろふ花に風吹けば‥‥

マロニエの花が言った〈上巻〉作者: 清岡卓行出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1999/08メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る −表象の森− イサドラ・ダンカンの死大晦日、今年最期の、年初から数えて161回目の言挙げである。 第一…

言の葉は露もるべくもなかりしを‥‥

−表象の森− カオス入門J.グリック「カオス−新しい科学をつくる」新潮文庫(1991年初版) 「進化とはフィードバックのあるカオスだよ」−ジョゼフ・フォード この宇宙は、たしかにでたらめさと散逸の世界であるのかもしれない。 だが「方向」を持ったでたらめさ…

ねやの上に雀の声ぞすだくなる‥‥

−四方のたより− Alti Buyoh Fes.2008来年2月に行われる「アルティ・ブヨウ・フェスティバル2008」の総合チラシが届いた。 今回は2/9.10.11の3日間で18の演目が並ぶ。地元京阪神を中心に各地から18の団体または個人が参加するわけだ。 その陣容をみれば、東京…

うらうらに照れる春日に雲雀あがり‥‥

木のいのち木のこころ―天・地・人 (新潮文庫)作者: 西岡常一,小川三夫,塩野米松出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/07/28メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 77回この商品を含むブログ (62件) を見る ―表象の森― 西岡常一に学べ今日は気分転換とばかり気楽…

しるべとや越の白根に向かふらむ‥‥

砕かれた神―ある復員兵の手記 (岩波現代文庫)作者: 渡辺清出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2004/03/16メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 90回この商品を含むブログ (15件) を見る―表象の森― ヒロヒト無慚「砕かれた神」昨日(21日)は、J.グリックの「カオ…

恨みじなおのが心の天つ雁‥‥

―表象の森― リズム現象の世界以下は、蔵本由紀編「リズム現象の世界」のまえがきとして付された一文からの引用。 呼吸・心拍・歩行など、人が生きる上で最も基本的な活動はリズミックな現象、つまり同一の単純な事象が繰り返される現象である。広い意味の「…

匂へどもそことも知らぬ花ゆゑや‥‥

−表象の森− 科学知へのパースペクティヴをお恥ずかしいかぎりだが、近頃、蔵本由紀の「非線形科学」や「新しい自然学」を読んだおかげで、私のような理系コンプレックスの徒にも、現代における科学的知へのパースペクティヴとでもいうべきものが、この年にし…

霜まよふ空にしをれし雁がねの‥‥

―表象の森― 金楽寺だより私のところに「金楽寺だより」というハガキ一枚にガリ版刷りで短い詩と日常を描いたようなペン・スケッチが添えられた便りがまるで定期便のように舞い込むようになったのはいつ頃からだったか。今日手にしたハガキには二十七話とある…

待つ人のくもる契りもあるものを‥‥

―表象の森― 賤者考と穢多二十八座森鴎外の「山椒大夫」は荷役にしたがう部落民を統率する頭領であった。また彼の「高瀬舟」は花曳とよばれる部落民の舟曳きによって、大坂との間を上下した箱舟であった。 部落の民は芸能の徒であるほかに、半面労役の民であ…

明けぬれば色ぞ分かるる山の端の‥‥

−世間虚仮− 人を喰った噺今は昔の高校時代、一幕物の登場人物3人だけの「人を喰った話」という小さな芝居があったのを思い出した。 これは、昨日の朝刊の囲み記事で紹介されていたまことに人を喰った噺。 東京の港区にある米国の大使館が、国有地1万3000?の…

さくら色に衣はふかく染めて着む‥‥

−表象の森− 安治川Liveお招ばれ戴いたこともあってめずらしく昨夜は安治川・心のライブと銘打たれた催しに家族で出かけた。 本人曰く子どもの頃から吃音があり手慰みのギターとばかり過ごしてきたという、歌う際もトークにおいてさえもほとんど客席に目線を…

我ならで見し世の春の人ぞなき‥‥

−表象の森− 五色の賤「汚れとは、絶対に唯一かつ孤絶した事象ではあり得ない。つまり汚れのあるところには必ず体系が存在するのだ。秩序が不適当な要素の拒否を意味するかぎりにおいて、汚れとは事物の体系的秩序づけと分類との副産物なのである。」−メアリ…

亡き人の日数も今日は百千鳥‥‥

−表象の森− 迷走の譜先月の27日以来、久し振りの言挙げである。 このところ読むことばかりにかまけて些か私の脳は混濁気味なのだろう。書くこと、言挙げするにはなかなか気がいかない、どうにも腰が重かったのだ。 一つには宮本常一の「忘れられた日本人」か…

花咲かば告げよと言ひし‥‥

−表象の森− ベジャール逝く先週の金曜日(23日)だったか、「20世紀バレエ団」を率い前世紀後半の舞踊界に君臨してきたモーリス・ベジャールの死が報じられていた。享年80歳だったとか、つい先頃まで本拠たるスイスのベジャール・バレエ・ローザンヌにて指導し…

あだにのみ移ろひぞ行く‥‥

−世間虚仮− インフルエンザ北極振動の影響とかで強い寒冷前線が列島北部に大雪を降らせている。 足取りの遅い紅葉前線にやきもきしていたかと思えば急変の寒波到来に思わずブルッと身震いをした。 そういえばインフルエンザもすでに流行の兆しとか、例年にな…

思ひ寝の心やゆきて尋ぬらむ‥‥

−世間虚仮− 出口調査のフライング大阪市長選の投票日でもあった今日の大阪は西北の風が吹いて冬近しの感。 立候補者5人と久し振りのにぎやかさで、おまけに自・公推薦の現職に対抗馬が民主推薦と共産推薦と市民派の3人が相応の有力候補とあってか、期日前投…

春はなほわれにて知りぬ‥‥

−世間虚仮− SUDOKUこのところ暇つぶしにSUDOKU=数独に嵌っていた。 もう20年も昔のことだが、ふとしたことからやはり暇つぶしに囲碁を覚えてみようと思い立ち、いくつかの本を買い込んでは我流で手習いをしたことがあるが、これはあまりに奥が深すぎるという…

花のうへはなほ色添ひて‥‥

時代の戦争と民主主義 (NHKブックス)" title="マルチチュード 上 ~時代の戦争と民主主義 (NHKブックス)">マルチチュード 上 ~時代の戦争と民主主義 (NHKブックス)作者: アントニオ・ネグリ,マイケル・ハート,幾島幸子出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2005/1…

香を尋めて行く空もなし‥‥

−表象の森− 梨壺の五人下記紹介の清少納言の父清原元輔の歌の塚本邦雄解説に「梨壺の五人」と耳慣れぬ謂いがある。 平安京の頃、天暦の治(950年頃)と称された村上天皇の代、御所七殿五舎の一の昭陽舎に和歌所が新たに置かれた。その寄人は大中臣能宣、源順、…

あさみどりいとよりかけて白露を‥‥

−世間虚仮− 小沢一郎のカタルシス民主党代表の辞意撤回をした小沢一郎の記者会見、そのTV中継のほぼ全容を見た。 こんな小沢一郎を見たことはない、と私には思われた。 一問一答、記者団の質問に、神妙な面持ちで訥々と、されど真摯に率直に語りつづける姿勢…

夕暮や嵐に花は飛ぶ鳥の‥‥

−表象の森− アイヌと義経神社イザベラ・バードの「日本奥地紀行」には 「アイヌの宗教的観念ほど、漠然として、まとまりのないものはないであろう。丘の上の神社は日本風の建築で、義経を祀ったものであるが、これを除けば、彼らには神社もないし僧侶もいな…

見渡せば向つ嶺の上の花にほひ‥‥

−世間虚仮− 豊作のドングリ今年はドングリがたくさん落ちていて里山は豊作だとか。 こんな年は、山に棲む野生の動物たちも、里に下りてきて農家に迷惑をかけることは少ないに違いないと。そういえば、昨日久し振りに幼な児を連れて蜻蛉池公園に行ったのだが…

思ひつつ夢にぞ見つる桜花‥‥

非線形科学 (集英社新書 408G)作者: 蔵本由紀出版社/メーカー: 集英社発売日: 2007/09/14メディア: 新書購入: 7人 クリック: 79回この商品を含むブログ (69件) を見る−表象の森− 文系脳の非線形科学 №111月1日、霜降、紅葉蔦黄ばむ候、愈々今年もあと2ヶ月…

朝夕に花待つころは思ひ寝の‥‥

−世間虚仮− 吾れは思案投げ首、幼な児は溌剌元気印4日ぶりの言挙げである。 このところ書くことが疎かになっているのには二つばかり理由がある。 その一つは、近頃読んだ蔵本由紀著の「非線形科学」(集英社新書)に自身の思考回路が乱れているからだ。 非線形…

木々の心花近からし昨日今日‥‥

−世間虚仮− ニュース三題「金大中事件」 34年前(73年8月)の金大中拉致事件は、当時の韓国大統領朴正熙の関与したものであろうとは事件直後から推測されていたことだが、昨24日、韓国情報院の調査委がKCIA犯行説を結論づける報告書を公開したことでその蓋然性…

野分せし山の木の間を洩る月は‥‥

−世間虚仮− 禁煙ならぬ「禁煙法」のすすめ10月1日からとうとう大阪市でも路上喫煙禁止条例が施行された。とりあえずの禁止地区は御堂筋全域と市庁舎付近一帯とか。やがて市内全域における路上禁煙となるのは時間の問題なのだろうが、喫煙者にとっては愈々肩…

影をだに見せず紅葉は散りにけり‥‥

−表象の森− 「KASANE ?-襲-」構想メモ京都 ALTI BUYOH FESTIVAL 2008への出演作品のために、とりあえずの。春ならば桜萌黄や裏山吹など、秋ならば萩重や女郎花など、襲(かさね)の色はこの国特有の美学だが、その美意識は蕉風俳諧の即妙の詞芸にも通じていよ…

もみぢ葉の流れてとまる湊には‥‥

−世間虚仮− 困った人々極私的な、あまりに極私的な私信だが、偶さかこんなものを綴ってみなければならない時もある。From TA > N君から メイルが2本入っているが、TAには意味不明。 貴君の翻訳 あるいは意見・感想をお願いする。> まずは、不足額が生じた経…

空見えて影も隠れぬふるさとは‥‥

−表象の森− 女性の地位近代化の明治期より封建制の江戸の社会のほうが女性の地位はむしろ高かった、と。 そんな一面があったということを宮本常一は「『日本奥地紀行』を読む」のなかでごく分かり易く説いてくれる。 戦後に改められた現行の戸籍制度ではなく…

ひとり寝る山鳥の尾のしだり尾に‥‥

−世間虚仮− ある投書新聞の投書欄などに触れることは滅多にないのだが、ふと胸を撃たれた感がしたので記しておきたい。 投書の主は63歳のご婦人、奇しくも私と同年だ。 彼女は、今年の初めに「毎日、ハガキを一枚書く」と決めた、という。少し過酷かと思った…