2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

つゝみかねて月とり落とす霽かな

―表象の森― 尾張五哥仙芭蕉は、「野ざらし紀行-甲子吟行-」の旅で、貞享元(1684)年八月江戸を立ち、伊勢を経て、亡母追善のためにひとまず伊賀上野に帰郷、九月大和・吉野をめぐって、近江から美濃に入る。大垣の谷木因を訪い、十月初、同道して桑名に遊ぶ。…

廊下は藤のかげつたふ也

<連句の世界−安東次男「芭蕉連句評釈」より>「狂句こがらしの巻」−36 綾ひとへ居湯に志賀の花漉て 廊下は藤のかげつたふ也 重五次男曰く、挙句、一巻の祝言であるから、其の場に臨んでよどむことなく、浅々と付けるのが良いとされるが、言葉の骨組のない綺…

綾ひとへ居湯に志賀の花漉て

<連句の世界−安東次男「芭蕉連句評釈」より>「狂句こがらしの巻」−35 けふはいもとのまゆかきにゆき 綾ひとへ居湯に志賀の花漉て 杜国綾ひとへ居湯-おりゆ-に志賀の花漉て-こして-次男曰く、名残ノ折の花の定座、「匂の花」とも呼ぶ。 居り湯は釜で沸かし…

けふはいもとのまゆかきにゆき

―表象の森― Turbulent Flow -乱流- 「大きな渦は、その勢いに力を得て ぐるぐるまわる小さな渦を含み その小さな渦の中には、これまた ひとまわり小さな渦がある。 こうしてこれが遂には 粘度となっていくのだ」 ――ルイス・F・リチャードソン量子力学学者W・…

わがいのりあけがたの星孕むべく

―表象の森― 伝承芸の型奥村旭翠さんの筑前琵琶を初めて聴いてからすでに8年ほどを経ようとしているが、年に二度か三度、毎年のように聴いてきて、その弾き語りに耳慣れてしまった私には、このところどうしても一抹の不満を感じざるをえず、些かもどかしいよ…

箕に鮗の魚をいたゞき

―世間虚仮― 昨日、今日イヤ、驚いた。今朝、新聞を取り込む際、眼に飛び込んできた一面トップ。 すでに日本では’03年に最高裁で無罪が確定したロス疑惑の元被告三浦和義を、ロス市警が逮捕、の仰天ニュース。 25年の時効がある日本と、時効のないアメリカ、…

うしの跡とぶらふ草の夕ぐれに

銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎作者: ジャレドダイアモンド,倉骨彰出版社/メーカー: 草思社発売日: 2000/10/02メディア: 単行本購入: 60人 クリック: 1,069回この商品を含むブログ (369件) を見るInformation<筑前琵琶へのお誘い>―表…

巾に木槿をはさむ琵琶打

Information<筑前琵琶へのお誘い>―表象の森― 流山児の楽道小劇場運動華やかなりし70年代、「演劇団」を率いて全国を廻っていた流山児祥が、中高年の素人衆に「演劇で遊びましょう」と呼びかけて生まれた「楽塾」10年の歩みなど、生の体験記を聴く機会を得…

日東の李白が坊に月を見て

―世間虚仮― 大阪のホールがあぶない昨日-20-、久しぶりに大阪市庁舎を訪れた。 行き先は8階の議員団控室、同行は大文連運営委員長の高田昌氏。 社会保険庁の外郭団体(財)厚生年金事業振興団が所轄運営するハコモノ「厚生年金会館」-西区新町-の売却が予定さ…

秋水一斗もりつくす夜ぞ

―四方のたより― 琵琶の会へのお誘い今年も筑前琵琶奥村旭翠門下の琵琶の会が、この日曜日-2月24日-に例年の如く文楽劇場の3階小ホールで行われる。 生前は府下高槻市に在住した筑前琵琶の人間国宝だった山崎旭萃が逝かれてすでに2年。その直門の高橋旭妙をは…

あはれさの謎にもとけし郭公

―今月の購入本―中上健次「紀州−木の国・根の国物語」小学館文庫 小説ではない、故郷新宮を起点に熊野古道ゆかりの町や村を廻る叙事的エッセイ。初出は77〜78年の朝日ジャーナル連載と一部他。安東次男「風狂始末−芭蕉連句評釈」ちくま学芸文庫 著者による芭…

烏賊はゑびすの国のうらかた

―表象の森― 長い冬16日(土)の深夜というより昨日の未明というべきだが、この一週間ほどALTI Fes.絡みで少々疲れ気味の神経は読書に向かうほどの気力もなく、なんとなくTVのチャンネルを回していて、眼に飛び込んできたのが「スーパーチャンプル」とかいうStr…

しらしらと砕けしは人の骨か何

―表象の森− ALTIの競演<第三夜>辛口評ALTI BUYOH FESTIVAL 2008 in Kyoto <辛口評>−第3夜− 2/11 MON◇Road 〜みちの空〜 −24’50” −MOVE ON −大阪 構成・振付:竹林典子 出演:竹林典子、小平奈美子、山口香奈、家弓明子、竹中智子、戸島美季、北野万里子 …

冬がれわけてひとり唐苣

―表象の森− ALTIの競演<第二夜>辛口評ALTI BUYOH FESTIVAL 2008 in Kyoto <辛口評>−第2夜− 2/10 SUN◇The Wheel of life, remade −18’30” −Oginos and Core −兵庫 構成・演出・振付・音楽・照明:荻野佳代子-祐史 出演:米田桃子、有井まりの、平屋有彩、…

笠ぬぎて無理にもぬるゝ北時雨

―表象の森− ALTIの競演<第一夜>辛口評ALTI BUYOH FESTIVAL 2008 in Kyoto <辛口評> アルティ・ブヨウ・フェスティバルの公募公演シリーズの三日間が無事終了し、私としては三度目の辛口評に挑む。 映画では監督、演劇では演出が、その作品を全体的視野で…

しばし宗祇の名を付し水

−温故一葉− 竹田雅則さんへ立春も過ぎお水取りの時候とはいえ今冬一番の寒波がつづくこの頃、 時節はずれながら、寒中お見舞い申し上げます。年末から年始にかけ、この大阪はとうとう市も府も、舵取りの顔が替わってしまいましたネ。 これが果たして吉と出る…

ぬす人の記念の松の吹おれて

−温故一葉− サンデー太極拳の仲間、玉瀬富夫さんに 鶯鳴く立春とはいえ今冬一番の寒さが続きますが、如何お過ごしでしょうか? メール拝見、イヤー、吃驚しました。あの雪降るなかをわざわざ京都までお運び戴いたとは思いもよりませんでした。私もずっと会場…

いまぞ恨の矢をはなつ声

下鴨神社・糺の森―表象の森― 糺の森とALTI第三夜日中は10度を越えて春到来を告げるような穏やかな日和だった昨日、三日続きの京都行はALTIに入る前にしばしのあいだ下鴨神社糺の森を散策。 上賀茂神社のほうへは昔行った記憶があるが、この年になるまで糺の…

のり物に簾透く顔おぼろなる

写真は堂本印象作品「交響」Information「ALTI BUYOH FESTIVAL 2008」−表象の森− 堂本印象の世界とALTI第二夜伝統的手法から抽象に到るまでドラスティックなまでにその画法を変遷させてきた日本画家堂本印象の美術館を訪ねてみた。 昨日は、前日の大雪とうっ…

蝶はむぐらにとばかり鼻かむ

Information「ALTI BUYOH FESTIVAL 2008」―表象の森― 雪降るなかのALTI第一夜本州の南海上を低気圧が通過した影響で近畿も東海も大雪に見舞われた昨日-9日-、大阪もこの冬初めての積雪で大坂城も雪化粧となったが、よりによってALTIの本番の日にとはネ。10時…

二の尼に近衛の花のさかりきく

Information「ALTI BUYOH FESTIVAL 2008」四方館-SHIHOHKAN-の出演は、愈々今夕。 「KASANE ? –襲-」 TrioによるImprovisation Dance 構成:林田鉄/演奏:杉谷昌彦/衣裳:法月紀江 出演:小嶺由貴、末永純子、岡林綾春ならば桜萌黄や裏山吹や、秋ならば萩…

となりさかしき町に下り居る

Information「ALTI BUYOH FESTIVAL 2008」−表象の森− 皮膚は第三の脳?皮膚には第三の脳ともいうべき未知の思考回路があり、生物にとって最も重要な器官とさえ云いうると、資生堂ライフサイエンス研究センターの主任研究員を務める傳田光洋氏が自説を開陳す…

たそがれを横にながむる月ほそし

Information「ALTI BUYOH FESTIVAL 2008」−世間虚仮− 地方分権、道遠し国会はガソリンなどの暫定税率問題で紛糾が続き、中国製冷凍ギョーザの薬物汚染は消費者生活に時ならぬ恐慌をもたらす。ヒラリーかオバマか、米国大統領予備選で過熱する民主党候補の闘…

霧にふね引く人はちんばか

―表象の森− ALTIの競演<第二夜>辛口評ALTI BUYOH FESTIVAL 2008 in Kyoto <辛口評>−第2夜− 2/10 SUN◇The Wheel of life, remade −18’30” −Oginos and Core −兵庫 構成・演出・振付・音楽・照明:荻野佳代子-祐史 出演:米田桃子、有井まりの、平屋有彩、…

田中なるこまんが柳落るころ

Information「ALTI BUYOH FESTIVAL 2008」<連句の世界−安東次男「芭蕉連句評釈」より>「狂句こがらしの巻」−13 あるじはひんにたえし虚家 田中なるこまんが柳落るころ 荷兮次男曰く、初裏七句目。歌仙二つ目の月の定座を次に控えて、秋季に作っている。秋…

あるじはひんにたえし虚家

Information「ALTI BUYOH FESTIVAL 2008」<連句の世界−安東次男「芭蕉連句評釈」より>「狂句こがらしの巻」−12 影法のあかつきさむく火を焼(たい)て あるじはひんにたえし虚家 杜国春秋の句は三句以上-五句まで-。夏冬の句は三句限、月花の句を除く平句の…

影法のあかつきさむく火を焼て

Information「ALTI BUYOH FESTIVAL 2008」<連句の世界−安東次男「芭蕉連句評釈」より>「狂句こがらしの巻」−10 きえぬそとばにすごすごとなく 影法のあかつきさむく火を焼(たい)て 芭蕉次男曰く、「きえぬそとば」は死者の影法師だ、と見定めた執成-とりな…

きえぬそとばにすごすごとなく

Information「ALTI BUYOH FESTIVAL 2008」<連句の世界−安東次男「芭蕉連句評釈」より>「狂句こがらしの巻」−10 いつはりのつらしと乳をしぼりすて きえぬそとばにすごすごとなく 荷兮次男曰く、虚を忘れるために実を棄てたが、その甲斐もなく新たな実が生…