ゆふ風の夏草のそよぐさへ

050512-009-1
   Information「四方館 Dance Cafe」


<言の葉の記>


盂蘭盆会>


お盆のことを正確には盂蘭盆会(ウラボンエ)というのはよく知られたことだろうが、
もとはといえば、盂蘭盆経(ウラボンキョウ)なるお経があり、この経典に由来する法要が盂蘭盆会なのだということは寡聞にして知らなかった。
岩波の仏教辞典によれば、この経の内容は釈迦十代弟子目連の救母説話となっており、目連の死んだ母親が餓鬼世界に墜ちて苦しんでいたが、仏の教えにしたがって旧暦の7月15日、僧たちが自恣−(自ら罪を告白懺悔すること)−し、布施供物をしたところ、その功徳で母親は救われたという故事だそうで、この故事にちなんで祖霊を死後の苦悩世界より救済する仏事として先祖供養の盂蘭盆会が慣習化したのだという。
日本では606年(推古14)に行なわれた記録が残されているというからとにかく古い。
盂蘭盆会は、歓喜会(カンギエ)、魂祭(タママツリ)とも別称され、これに類する盆踊りの習俗も、平安時代空也の踊躍念仏や鎌倉時代の一遍の念仏踊りを経て、しだいにひろまり中世以後定着していったようだ。


私には先祖という観念はないにひとしいというのが実感に近いだろうが、身近な死者として父母の存在はとうてい無視し得ない。
また、この身に授けた彼らの慈愛については量りがたい固有のものを実感している。
自分自身の生の日々が、すでに死に向かって生きていると自覚せざるをえない昨今であれば、盆や正月ともなれば、彼岸の父や母をどうしてもより親しいものにさせることだ。


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