我名は里のなぶりもの也

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Information−四方館 DANCE CAFE –「Reding –赤する-」

―世間虚仮― 広島原爆投下前のCG写真

政治団体を隠れ蓑にした西松建設からの巨額献金で、小沢一郎の公設秘書大久保隆規政治資金規正法違反容疑で逮捕されたこの3日以来、政界には激震が走り、新聞・TVの報道も関連ニュースに賑やかこのうえないが、このところは新聞などとてもじっくりとは読めないような状態だから、一連の騒動を遠くから眺めやるといった態で過ごしている。

そんな朝方の、束の間のほっと一息、眼に映じた紙面トップの写真、原爆投下前の広島の街並み、ドーム界隈から周辺の風景をCGで復元したという一枚が掲載されていた。左側に在りし日のドームを配して、太田川本川元安川とに岐れる中州が三角状に延び、当時広島有数の繁華街だったという中島町には、瀟洒な二階建ての木造家屋が立ち並んでいる。遙か前方に広がる、霞むように見える低い山脈は、左に江田島や能見島、右に宮島など、瀬戸の島々だろう。

よくTVなどでCG映像を空撮のごとく動態で見せられることがあるが、この手のHyper Realism?には此方の想像力はちっとも羽ばたかず、却ってリアリティが遠のくばかりに思えてしかたがないのだが、今朝のこの一葉は、その3次元CGで復元した画像にも拘わらず、それをあらためて2次元平面の写真として掲載されていることからであろうか、ふと眼を奪われひとときその風景に見入ったものだった。
 −写真は毎日新聞本日朝刊より


<連句の世界−安東次男「風狂始末−芭蕉連句評釈」より>

「花見の巻」−28

  中なかに土間に居れば蚤もなし  

   我名は里のなぶりもの也  翁

次男曰く、観相句の面白さは、前後に執成していろいろな世相人情を取出せることである。前句は、今一番と目を血走らせる勝負師に対する冷しにもなれば、偶、それともたわむれにか、知った土間の味が行脚放浪への誘い水ともなるだろう。

里人の一人でも、余所者でもよいが、自ら「我名は里のなぶりもの」と名告る人間はむろん痴愚の徒ではない。「ほそ道」日光山の麓のくだりで「我名を仏五右衛門と云」と名告った宿の主と表裏、同じ伝の人物の取出しである、と。

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