2011-01-01から1年間の記事一覧

伸ばしきつた手で足で朝風

―表象の森― キリスト教と無神論無神論>の問題は、キリスト教的自由意志の問題とセットになっているのだ。 どの文化のの周りにも不信心の輩は生まれたが、キリスト教の神だけが、無神論者を育み、無神論の枠組に守られて自らを存在させ続けたのだ。逆にいえば…

紫陽花もをはりの色の曇つてゐる

―表象の森― 負の遺産//原発◇放射能とはどういうものか ・放射能の怖さは、DNAを破壊し遺伝子異常を引き起こすこと。JCO臨界事故では、被曝者の細胞が再生されず、全身が焼けただれるようにして亡くなった。 ・今回の事故で、すでに原爆80発分の放射性物質が…

はだかではだかの子をだいてゆふべ

―四方のたより― 台風6号接近大型の台風6号が、午後3時現在、高知県足摺岬の東南東約30?にあり、進路は北北東、15?/hとか。 四国上陸は時間の問題だが、今夜半から明日にかけ、気圧配置ゆえだろうが大きく東へ向きを変えて、近畿・中部一円を襲う模様だ。 どう…

朝からぴよんぴよん蛙

―表象の森―原発終末論・小出裕章「原発のウソ」扶桑社新書 3.11震災による福島原発の破局的状況を抱える現在において、本書がベストセラーとなるのは当然すぎることだろう。とにかく解りやすい、一気呵成に読める。原発破局の実態が、客観的事実に裏づけられ…

雲がいそいでよい月にする

―四方のたより― D.マリィの「成田屋/暑中Me舞」デカルコ・マリィたちの成田屋シリーズも近頃は2ケ月毎ペースになっている。 5月の折は日程が合わず見逃していたので、昨夜はなにはともあれ山王町交差点の成田屋へと家族でお出ましと相成った。とにかく暑い、…

朝の土から拾ふ

―四方のたより― ウナギの回遊生態土用の丑も近い。 子どもの頃、親父と一緒に田舎-徳島南部-へ帰ると、必ずといっていいほど、水田近くの小川やあるいは海沿いの川渕へとウナギ取りに行ったものだった。そんなわけで、ウナギは我が家の食習慣にはずいぶんと…

あすはよいたよりがあらう夕焼ける

―表象の森― 七つの社会的罪-Seven Social Sins-マハトマ・ガンジーが1919年から32年にかけて英語で毎週刊行していた「Young India」という小誌−「七つの社会的罪 -Seven Social Sins-」は、1925年10月22日付に掲載された。最近、この中の「道徳なき商業」を引…

水をたゞようて桐一葉

―四方のたより― 神田代舞に疑問?-住吉の御田植祭-先月の今日すなわち6月14日は住吉大社の御田植祭だった。 この日、私は物見遊山よろしくこれを見学に行ったのだけれど、此処に書く機会を失したままとうとう1ケ月が経ってしまったわけだが、この機に触れて…

ひとりなれば山の水のみにきた

―表象の森― 浮遊する世界・B.カスティリオーネの「廷臣論」1528 Dicendo ogni cosa al contrario – すべてのことを「裏返しに」いえば、万事がずっと美しくなる− この書は、マキァヴェルリの「君主論」の現実主義に対する「理想主義的」反論であり、ヨーロツ…

なく蠅なかない蠅で死んでゆく

―四方のたより― エッ!? 三枝が文枝襲名上方落語の定席小屋として天満の繁昌亭を成功させ、現在も上方落語協会の会長を務める桂三枝が、文枝襲名をするという報道に、我が耳を疑う思いがよぎった。 上方落語の大名跡を襲名といった形容が躍るが、60年代末から…

ふたゝびこゝに花いばら散つてゐる

―表象の森―「一致する不一致」D.E.テサウロの長い題名をもった著書「神聖なるアリストテレスの原則によって解説せられたる‥アリストテレスの望遠鏡、あるいは機智鋭い文章作法の理念」-1645- 一致する不一致 「鋭い明察にめぐまれた者は、おのずと凡人とは区…

ゆふべのラヂオの泣きたうなつた

―四方のたより―同行二人?お気づきだろうか、7月に入ってから「山頭火の一句」の行乞記日付と、ブログ投稿の日付が一致しているのを。 偶々6月30日時点でちょうどピタリと重なったのだが、その折り、このところ何日も空けたり滞りがちだった投稿を以前のよう…

おちつかない朝の時計のとまつてる

―表象の森― 鏡の魔術「壁の間に影は重く沈む/そしてわたしはわたしの鏡のうちへと降りる/死者がその開かれた墓へと降り行くように」ポール・エリュアール「鏡の中に/わたしは見る/夢を 鏡の中の夢を 夢見る/やさしい男を」E.E.カミングズ表現主義・超現実…

墓に紫陽花咲きかけてゐる

―表象の森―<日暦詩句>-34 「繭」 那珂太郎 むらさきの脳髄の 瑪瑙のうつくしい断面はなく ゆらゆらゆれる ゆめの繭 憂愁の繭 けむりの糸のゆらめくもつれの もももももももももも 裳も藻も腿も桃も もがきからみもぎれよぢれ とけゆく透明の 鴇いろのとき …

畦豆も伸びあがる青田風

―表象の森― 古典様式とマニエリスム古典様式は神秘という「秘匿されたもの」を、「悟性的な」単に「昇華された」自然において描き出そうとし、 マニエリスムは「秘匿されたもの」を、「寓意的な」「イデア」のうちに往々にして「デフォルメされた」自然にお…

ほつくりぬけた歯を投げる夕闇

―表象の森― G.ベイトソン「天使のおそれ」「天使おそれて立ち入らざるところ」とはいかなる場所か‥図書館で借りたG.ベイトソンの遺著というべきか、「天使のおそれ」を一応読了。 読むには読んだが、茫としてまとまった評の紡ぎようもない、というのが正直な…

明日は出かける天の川まうへ

―四方のたより―「市岡OB美術展」開催中3日の日曜日から9日の土曜日まで、もう何回目かな、11イヤ12回か―。 市岡高校OB美術展が、 例によって、西天満の大阪現代画廊・現代クラフトギャラリーにて開催している。 昨夕、行ってきた。 お馴染みのメンバーの、絵…

―四方のたより― 再び、Kへ今朝は4時に眼が覚めた。 久しぶりに4時半頃から散歩に出た。住吉公園を周回し大社の方へとお定まりのコース。 住吉大社の御田では、先月の御田植祭の折り設えられていた神楽舞台も橋懸りの渡り廊下も姿を消して、稲は水面から一尺…

みんな売れた野菜籠ぶらぶら戻る

―四方のたより― Kからの返信 一昨日の便りで「人間の歴史は有史以来どの時点でも末法だった」と言われましたが、正にその通りで、ぼくは以前から痛感していました。 7歳の時の神戸大空襲の体験が地獄そのものでした。逃げまどうぼくらの前に爆弾が落ち、地中…

ほつくりぬけた歯で年とつた

―表象の森― cargo cult「本当のカーゴ・カルト-cargo cult 積荷信仰-の特徴は、結果の生産そのものよりも結果の期待を優位におく点にある。 これまで期待通りには決して起こらなかった、ありえないような成功を予告するという点で、開発政治―発展主義のイデオ…

何でこんなにさみしい風ふく

―表象の森― 詩とはなにか金子光晴は「腹の立つときでないと詩を書かない」といい、 北川冬彦は「なぜ詩を書くか、私にとっては、現実の与えるショックが私に詩を書かせるのだ、というより外はない」、 高橋新吉は「自然の排泄に任すのである」と。 また、村…

かつと日が照り逢ひたうなつた

―四方のたより― Kへの通信昨日は、お疲れさま、でした。 君にとっては、不本意なことも、いろいろとあったでしょうが、 兄と妹と弟、三人が揃った場に2時間余り立ち会って、家族としての、兄弟としてのさまざま来し方が、よくわかったような気がしました。 …

のぼりつくして石ほとけ

−表象の森− 東寺見物と青木繁展やっと青木繁展を見てきた。 7月10日の最終日も近づいているし、休日などに行こうものならとんでもない混雑のなかの苦行となろうから、絶対平日に行くべしと思っていた。京都南のインターから国道1号線を北へ走ると東寺にぶつ…

大きな声で死ぬるほかない

―表象の森― 懐かしの阪妻映画今週月〜金の5日間、毎朝10時前から昼頃までのひととき、WowWowの特番で、60年近くもタイムスリップ、阪妻主演の映画を堪能させてもらった。 ‘52年封切の「丹下左膳」を皮切りに、「大江戸五人男」-‘51-、「あばれ獅子」-‘53-、…

拾ふことの、生きることの、袋ふくれる

―四方のたより― お出かけ二題朝から岸里の関西芸術座スタジオへと出かけ、 東日本大震災被災地支援チャリティ公演と副題した、河東けい構成の「宮沢賢治を誦む」の午前の部を観る。 関芸の老優たち-失礼!-、おけいさんをはじめ、藤山喜子、小笠原町子、寺下…

ひさしぶり逢へたあんたのにほひで

―四方のたより― しっかり-6159歩久しぶりに早朝の散歩。 二日つづきの大雨がやっと霽れて、夏至も近い頃合の午前5時はすでに薄明りで、歩くにつれどんどん明るくなっていく。 住吉公園をぐるりと周回してから大社の方へと足を運んだが、どっこいいずれの門扉…

待つてゐるさくらんぼ熟れてゐる

―表象の森― 「江戸の紀行文」を読む著者板坂耀子は’46年生れ、昨年3月、福岡教育大教授を定年退官した、と。 曰く、芭蕉の「おくのほそ道」は名作だが、江戸時代の紀行としては異色の作であり、作為に満ちて無理をしている不自然な作である。この異色の名作…

蝿がうるさい独を守る

―四方のたより― 承前、ふたり旅Repo-2 4月30日、曇、宿で朝食を摂って津和野を発ったのは午前9時頃、またも国道9号線へ出て一路山口市へと向う。街の中心部を通り過ぎるとやがて小郡。その小高いあたりに山頭火の其中庵がある。以前に訪れたのはかれこれ15.…

炎天の影ひいてさすらふ

―四方のたより― 炭鉱の記録画「世界の記憶」へ「世界記憶遺産」というのもあったんだ。不明にして知りませんでした。 昨日の新聞紙面に載った、狭い坑道で働く半裸姿の男女を描いた絵。 半世紀を炭鉱で働いたという山本作兵衛-1892〜1984-氏が、その記憶をた…

ひとりをれば蝿取紙の蝿がなく

―四方のたより― と「経済成長なき社会発展は可能か?」セルジュ・ラトゥーシュ著、中野佳裕訳 3.11の大震災以後、日本中が福島原発事故のもたらす深刻な恐怖下にある事態のなか、折しも本書を繙くのは時宜に適ったものとは思われつつも、じっくりと読み進める…