051023-025-1

Information<四方館Dance Cafe>

−今日の独言−

市町村合併に伴なう地名破壊
 平成の大合併が進み、それに伴なって地名破壊も日本中に拡がっている。
合併特例法の大号令で、1999年3月末に3232だった全国の市町村数は、来年3月末には1821に減る見込みだそうだ。総務省は、合併の功罪を検証し、今後の課題や合併推進策を探る研究会を発足させる、という。ここ両三年の合併履歴はコチラのサイトで見られる。栃木県に「さくら市」という名の市が誕生して、物議を呼んでいる。あまりにも地域の特定性がない、という訳だ。合併に伴う新地名選定には、昔から連綿と継がれてきた歴史的地名があまりにも軽んじられていると歎き、消されゆく地名の大洪水に、これはある種の文化的大破壊だ、と怒りの声をあげる批判の書も出版されている。だが、残念ながらこういうことは今に始まったことではなく、明治維新の近代化以来、国の号令のもと何回かの大合併が取り組まれてきたし、また戦後60年を見ても、市町村合併とは別に、各地方自治体では、利便性を求めた町づくりのために、区画整理事業をかさねて、たえず由緒ある旧地名は抹消されてきたのである。歴史的事象といえどもつねに文明の濾過器にふるいにかけられ、歴史は再創造されてゆく、或は、捏造されてゆくのだ。歴史と文明という座標の変容のなかに棲みつづける人間社会というものは、所詮はそんなものではないのかというのが、私の思うところだが‥‥。
 ―― 平成の大合併履歴サイト 
 ―― 合併で進む地名破壊サイト


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<秋−26>

 荒れわたる秋の庭こそあはれなれまして消えなむ露の夕暮  藤原俊成

新古今集、雑、千五百番歌合に。
邦雄曰く、上三句に「あ」の頭韻を押し、冷え侘びた調べに明るみを添えたあたり絶妙。時に作者、87歳、三年後の死を思わせつつ澄み渡った心境、と。


 風吹かばなびく浅茅はわれなれや人の心の秋を知らする  斎宮女御徽子

拾遺集、雑、題知らず。平安初期、醍醐天皇第4皇子重明親王の娘。
邦雄曰く、冷やかにしかも渺茫とした心のなかの眺め、「われなれや人の心の秋」の神韻ともいうべき調べは格別、と。


⇒⇒⇒ この記事を読まれた方は此処をクリック。