いづかたにしをれまさると‥‥

Nakahara050918-085-1

Information<四方館Dance Cafe>


−今日の独言−

35歳の初志貫徹
 私は将棋や麻雀など勝負事はからきしダメなのだが、35歳のアマチュア棋士がプロ資格への挑戦をして、晴れて四段棋士となったニュースには他人事ながら快哉の声を上げたい。一旦は26歳で立ち塞がるプロ資格の壁の前に挫折して、苦節十年、その熱意と辛苦は、資格規定の定法を破ってまでの異例の挑戦となり、執念のプロ入りを果たした快挙は、近頃滅多に出会えぬ、人として生き抜くことの範に値する。


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<秋−25>

 いづかたにしをれまさると有明に袖の別れの露を問はばや  後崇光院

沙玉和歌集、別恋、詞書に、永享四年二月八幡社参じて心経一巻書写してその奥に。室町後期。後朝(きぬぎぬ)の名残りを惜しむ涙を「袖の別れの露」とした。冷え冷えとした暁の薄明りのなかに別れてゆく二人の姿が浮かぶ。邦雄曰く、技巧を凝らした構成の、殊に結句の吐息に似た響きが佳い。身は皇族に繋がりながら終生不遇であった人の、詞に懸けた凄まじさを、と。


 思ひ入る身は深草の秋の露たのめし末やこがらしの風  藤原家隆

新古今集、恋、水無瀬恋十五首歌合に。恋に深く心を沈めた我が身は、深草に宿る秋の露か。頼みとしえたはすでに過去のこと、果ては木枯しの風に吹き散らされる儚き定めか。邦雄曰く、上・下句共に体言止めの、ひたと対峙して響き合う文体、しかも惻々と心に沁む趣き、と。


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