都にて月をあはれと思ひしは‥‥

051023-063-1
Information<四方館Dance Cafe>

−今日の独言−

ドサクサ紛れのブッシュ来日
 昨夜から、ブッシュ米大統領が来日して小泉首相と相変わらずの日米蜜月ぶりを世界にアピールしている。そもそも此の度の邦日の日程そのものに大いに胡散臭さを感じている人も多かろう。昨日は紀宮の結婚でマスコミの報道もお目出度いニュースにシフトしているし、大半の国民がその祝賀ムードを享受しているなか、いわばドサクサ紛れに「世界のなかの日米同盟」などと高らかに謳い上げられては、露骨な作為を感じない訳にはいかない。イラク派遣延長も、牛肉輸入再開も、この来日でゴーサインとなる。イラク駐在の自衛隊のみならず、首都東京をはじめ日本の大都市もテロの標的となる可能性を本気で心配しなければならなくなってきたのではないか。


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<秋−34>
 都にて月をあはれと思ひしは数にもあらぬ遊(すさ)びなりけり  西行

新古今集、羇旅、題知らず。邦雄曰く、理の当然を叙しているにも拘わらず、意表を衝かれたの思いに立ちすくむ。都における暖衣飽食平穏無事な日々の花鳥風月と、旅から旅への酷薄な環境で見る月は「あはれ」の域を遥かに超える。宮廷歌人たちはこのような「告白」に胸を搏たれ、不世出の、まことの歌人として、西行を認めたのでもあろう、と。


 忘れずも袖訪(と)ふ影か十年(ととせ)あまりよそに忍びし雲の上の月  後土御門天皇

後土御門院御詠草、袖上月。室町末期、在位中に応仁の乱あり戦国の世へと。邦雄曰く、恋歌に数えても、述懐に加えてもよい思いの深さを湛えている。結句の「月」は単なる月ならず、そこには特定の人の面影が添う。文明8(1476)年、帝34歳の八月十五夜、時は応仁の乱も終りの時期であったことを考え合わせると、感慨はひとかたならぬものと察せられる、と。


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