夕さればいや遠ざかり飛ぶ雁の‥‥

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−今日の独言−

蜻蛉池公園に遊ぶ

 大阪府下には府営の公園が18ヶ所ある。著名なところでは箕面公園浜寺公園などだろうが、子どもたちの遊具も充実し、休日ともなると家族連れでにぎわっているのが、岸和田市の丘陵地帯にある蜻蛉池公園だ。その名称はトンボを象った大きな池があるせいで名づけられたそうな。今日は幼な児のために一家で春先以来の訪問。池には冬越えに飛来しているらしい鴨の大群が水面に泳いでいた。肌寒いかと心配されたが、予想に反してポカポカするほどの小春日和の陽気。滞在二時間半ほど、4歳になったばかりの幼な児にはたっぷりというほどではないにしても適度な遊び時間だったろう。


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<秋−39>
 夕さればいや遠ざかり飛ぶ雁の雲より雲に跡ぞ消えゆく  藤原道家

玉葉集、秋。詞書に、建保5年9月、家に秋三首歌詠み侍りけるに、雲間雁を。鎌倉前期の人、祖父は九条兼実、摂政藤原良経の長子、後堀河天皇の関白となる。歌意は「夕暮、ねぐらへ戻るのか、雁の列が遠ざかって行く。たなびく雲から雲へ移るごとに、その姿はいっそう霞み、やがて跡を消してしまう。」邦雄曰く、縹渺(ひょうびょう)たる視野の限りに、霞み潤んで雁の姿は見えなくなる。第四句「雲より雲に」は、その遥けさを見事に言いおせた、と。


 たれか聞く飛ぶ火がくれに妻こめて草踏みちらすさ牡鹿の声  葉室光俊

閑放集、秋。鎌倉前期の人、法名は真観。父は藤原(葉室)光親、定家の弟子となり直接指導を受ける。邦雄曰く、およそ絵に描いた景色を出ない、息を殺して死んだような歌が多い中世和歌のなかに、この作の律動的な調べ、鹿の生態を活写した修辞は珍重に値する。第二句「飛ぶ火がくれに」、第四句「草踏みちらす」の新味は抜群、と。


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