袖にしも月かかれとは契りおかず‥‥

051023-011-1

−今日の独言− 全国的に雪


  太郎を眠らせ太郎の家に雪降り積む
  次郎を眠らせ次郎に家に雪降り積む


 12月にはめずらしい強い寒波がつづく。
22日午前4時47分、鹿児島の市内でも雪が舞っている。
先日、記録破りの雪だった広島もまた大雪となりそうな気配。
アメダスの画像によれば、九州全域に雪雲、中国地方北部と南部一部にも。
そして四国の南部海洋沖、東北地方では北部日本海側とこれまた南部沖上空にも。
列島の海域はほぼすべて荒れ模様、風と浪と雪に見舞われている。


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<雑−4>
 わたつみのかざしにさせる白妙の波もて結へる淡路島山  詠み人知らず

古今集、雑、題知らず。わたつみの−海神、「わた」は海のこと。かざし−挿頭。淡路島山−歌枕、瀬戸内の淡路島。
邦雄曰く、海神の挿頭は瀬戸内の白い波の花、それを島のめぐりにぐるりと、淡路島は結いめぐらしている。華やかに、おごそかに、雄大な眺めの歌の随一、と。


 袖にしも月かかれとは契りおかず涙は知るや宇津の山越え  鴨長明

新古今集、羇旅、詞書に、詩を歌に合せ侍りしに、山路秋行といへることを。久寿2年(1155)?−建保4年(1216)。下鴨神社禰宜、長継の二男。後鳥羽院中心の御所歌壇に地位を占めるも、後に出家して和歌所を去る。「方丈記」の他、歌論書「無名抄」、また仏教説話を集めた「発心集」も彼の作に擬せられている。宇津の山−駿河の国の歌枕、静岡県志太郡静岡市宇津ノ谷の境にある宇津谷峠。
邦雄曰く、涙は袖に玉をちりばめ、その袖の涙に月が映るようにとは約してもいなかったが、涙はそれを承知かと、屈折を極めた修辞は、いわゆる新古今調とはまた一風変った鮮明な旅の歌である。必ずしも秀作に恵まれない長明にとって、この歌は最高作の一つであろう、と。


⇒⇒⇒ この記事を読まれた方は此処をクリック。