吹きはらふ嵐はよわる下折れに‥‥

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Information−Aliti Buyoh Festival 2006−

−今日の独言− 北極振動

 大寒の入り、今日も厳しい寒気が列島を覆う。それにしても昨年来、今冬の大雪と寒さは近来稀にみるもの。原因は北極振動によるとされ、北極周辺の寒気が南下している所為で、ちょうどエルニーニョ現象の逆の状態だという。12月からの大雪・豪雪による被害は記録的なものになりつつある。18日段階で死者102名を数え、戦後4番目という多数の犠牲者。東北・北陸各地の市町村では除雪費が記録的に増大、急遽、政府は緊急予算措置を講じるという。例年ならばこれから本格的な降雪期を迎える1月半ばにしてこの事態なのだから、恐るべし北極振動


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<冬−24>
 唐崎やこほる汀(みぎは)のほど見えて波の跡よりつもる白雪  慈道親王

慈道親王集、冬、湖雪。弘安5年(1282)−暦王4年(1341)。亀山院の皇子、出家して後に天台座主となり、後醍醐天皇の護持僧を務める。新後撰集以下に24首。
邦雄曰く、渚を洗う波がさっと沖へ引き、水際の砂が黒々と現れると、折から降りしきる雪がたちまちうっすらと積る。琵琶湖は鈍色に雪にけぶる。唐崎の松も見え分かぬ。刻々の景を下句14音に盡した、と。


 吹きはらふ嵐はよわる下折れに雪に声ある窓の呉竹  鷹司伊平

玉葉集、冬、竹雪。正治元年(1199)−没年未詳。摂関家五家の鷹司頼平の子、正二位権大納言となるも30歳にて出家。新勅撰玉葉集に2首。
邦雄曰く、下折れの竹が音をたてるのに四句「雪に声ある」と、殊更に強調した手際の鮮やかさ、その秀句をそれとなくではなくて、これみよがしに誇示しているところが、この時代の一つの風潮でもある、と。


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