雪もまだたえだえまよふ‥‥

060207-07
Information−Aliti Buyoh Festival 2006−

−今日の独言− Rehearsal

 昨日(2/7)は、11日に迫ったアルティ・ブヨウ・フェス出演のリハーサル。阪神高速名神を乗り継いで午後3時半、烏丸通に面した御所西横の京都府民ホールに着。
二年前とは違って楽屋は地下一階だった。リハの時間まで、出演者は衣装合せやメイクなどに専念すれど、私はすることもなく手持ち無沙汰。一時間ほどロビーの喫茶サロンにて読書。
6時10分、リハ開始。簡単に場当たりをしたあと、一気に踊り通す。所要時間23分弱でほぼ目算どおりだが、舞台全面をフラットにしているため下手ピアノ位置と舞踊空間の近接感がどうにも気にかかる。劇場スタッフには気の毒だが予定変更して、段差を付けることにする。間口8m×奥行7mの舞踊空間のみ周囲より25cmの浮き。僅かな段差のようだがこれで印象はずいぶんと異なるものなのだ。
今日のリハは照明のプランニングのためでもある。時間もあることだし、ならば一度ならず再度見せておいたほうがプランナーに対しても親切というもの。と云う訳で、再び通し稽古。二度目の所要時間は1分ほど短かった。あらましは想定しているし何度も合せ稽古をしてきているものの、演奏も即興なら踊り手も即興のことゆえ、どうしても一、二分は相前後するのは致し方ない。
踊り手については前半の10分ほどはほぼ及第点だが、後半は構想もイメージもなお掴みきれておらず不満が残る。必ずしも序破急という訳でもないのだが、三つのシーン設定のそれぞれの特徴あるいは質的な落差がいまだきわだってこない。アクセルを踏むにせよブレーキをかけるにせよ、よほど意識的にコントロールしなければならないのだが、頭ではわかっているつもりでも肉体を限界にまで酷使すればこそ、そのぎりぎりの弾みはついつい心象を裏切り単純化してしまうものなのだ。まったくどこまでも課題は尽きない‥‥。
タイムアウトは7時30分。楽屋へ戻って帰り支度をして8時にはホールにサヨナラ。帰路は1号線をひた走り。


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<春−4>
 雪もまだたえだえまよふ草の上に霰みだれてかすむ春風  肖柏

春夢草、中、春上、早春。
邦雄曰く、雪・霰・霞・風が、若萌えの草生の上で、眼に見えぬ渦を巻く。言葉のみが創り出す早春の心象風景。「たえだえまよふ」に連歌師ならではの工夫を見る。牡丹を熱愛して庭に集め、またの名、牡丹花肖柏。家集春夢草二千余首には、師・宗祇を超えて新しく、照り翳りきわやかな作が残る、と。


 朝まだき霞やおもき松の葉は濡るるばかりの春の淡雪  心敬

十体和歌、有心体、春雪。
邦雄曰く、松の葉に積もる間もない春雪。黒緑の針葉からしたたる冷たい雫が眼に見えるようだ。目立たぬ二句切れ以外は各句あやうく繋がり、あたかも、松の葉の水滴の連なりと、そのかすかな響きを思わす。他に「残雪」題で、「山深み苔の雫の声ぞ添ふ梢の雪や春になるらむ」もある。第三句が見どころ、と。


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