ほのぼのと春こそ空に来にけらし‥‥

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Information−Aliti Buyoh Festival 2006−

−今日の独言− Alti Buyoh Fes. 第3夜

 昨夕の京都は少し冷え込んでいた。車を京都御所の駐車場へ入れて、外に出たら冷気に包まれ、一瞬ブルッときた。
初日は5作品、二日目は6作品、そしてこの夜は5作品。前回の一昨年もそうだったが、玉石混交の三夜。観る者を魅了してやまぬ作品があったかといえば、それほどのものは皆無。この世にそんなものは滅多と出会えるものではない。
私自身への成果はといえば、ひとつの整理がつきそうだということだが、今後に照らしてこのことは大きい節目となるのかもしれない。いや、そう願いたいものだ。


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<春−5>
 ほのぼのと春こそ空に来にけらし天の香具山霞たみびく  後鳥羽院

新古今集、春上、春のはじめの歌。         邦雄曰く、新古今集独選の英帝。文武両道に秀で、殊に和歌は20歳の百首詠から抜群の天才振り。人麿「ひさかたの天の香具山このゆふべ霞たなびく春立つらしも」の本歌取り。はるばるとした第二句と、潔い三句切れによって、一首は王侯の風格を具え、立春歌としても二十一代集中屈指の作であろう、と。


 春風の吹くにもまさる涙かなわが水上に氷解くらし  藤原伊尹

新古今集、恋一、正月、雨降り風吹きける日、女に遣はしける。
延長2年(924)-天禄3年(972)。右大臣帥輔の長男、貞信公忠平の孫。28歳で和歌所別当となり後撰集選進を指揮。後に摂政、太政大臣。家集を一条摂政御集という。後撰集以下に37首。
邦雄曰く、正月の恋歌。悲しい恋の涙であろうが、春風につれて溢れまさり、それは心中の源の解氷ゆえと聞けば、むしろ浮き立つような趣きもある、と。


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