暮れぬべき春のかたみと思ひつつ‥‥

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Information「Arti Buyoh Festival 2008」

−世間虚仮− 地球儀回収騒動

触れるとその国の地理や文化などを音声案内する高機能地球儀なる学研トイズの「スマートグローブ」やタカラトミーの「トーキンググローブ」の回収騒ぎやら販売中止で話題になっている。
問題の発端はといえば、これら地球儀の生産が中国の工場であったため、その地理表記が「中国仕様」となったことにある。
具体的には、台湾(中華民国)について「台湾島」と表記、中国領土として色塗られており、さらには、帰属未定として白表記となるべき北方領土の千島列島や樺太の南半分がロシア領として表示されている、という。
すでに両社ともホームページに「お詫び」声明を掲載、15日より返品希望者には購入代金で引き取るとし、販売中止にするようだが、学研サイドの弁解にもならぬ経緯説明があまりにも常識を欠くとして火に油を注ぐ結果となっている。
曰く「もともと香港のメーカーが開発し、日本語版の製造、販売権を当社が取得した。当初は日本の学校教科書同様の表記をするつもりだったが、工場が中国にあり、中国政府から表記を変更しないと日本への輸出を認めないと迫られた。すでに玩具ショーなどで注文が殺到していたので、仕方なく中国政府の指示に従った」というお粗末さ。
教材玩具とはいえ「地図」という各国事情の根幹に関わるものであってみれば、この国なら国土地理院のそれに準拠せざるをえず、その認識の甘さ、非常識さは眼を覆うばかりだ。


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<春−104>
 暮れぬべき春のかたみと思ひつつ花の雫に濡れむ今宵は  大中臣能宣

能宣集、弥生の晦日がたに、雨の降る夜、春の暮るるを惜しみて侍る心を。
邦雄曰く、桜花のこぼす露は淡紅に匂うだろう。それこそ、この春のなごり。逝く季節の形見に、今宵は樹下に眠り、花の雫のほしいままに濡れてみよう。着想は奇に似て切実、かつ、優雅である。大中臣能宣は梨壺の五人の一人。殊に春の歌に秀作が目立つが、「花の雫」はなかでも一、二を争う歌。なほ、百人一首歌「みかきもり」は作者誤伝とする説あり、と。


 散りまがふ花城木の葉に隠されてまれに匂へる色ぞともしき  大江千里

千里集、夏、餘花葉裏稀。
邦雄曰く、宇多天皇に奉った家集、一名句題和歌は寛平6(894)年4月25日付の漢文序が冒頭に置かれる。「側(ホノカ)に言詩をば聴けども未だ艶辞をば習はず」と謙遜の詞を連ねているが、百余首、「朧月夜にしくものぞなき」を含めて秀歌が多い。観照の細やかさは第三句「花は木の葉に隠されて」にも明らかに感じ取れる。結句を「色ぞともなき」とする本もある、と。


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