うれしげに囀る雲雀ちりちりと

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―世間虚仮― 道路特別財源から省職員の人件費

今日の朝刊、
道路特定財源の一般化をめぐって紛糾、国会は膠着状態のまま、いよいよガソリン税など暫定税率の期限切れを迎えそうだが、そんな渦中に、問題の財源を原資とする道路特会-道路整備特別会計-から関係省職員の人件費に充当されていた額が創設当初より49年間で2.3兆円にのぼる、との報道。
この措置が特別会計法に照らして問題はない、合法だ、と国交省は曰っているのだから、まこと官僚の論理とはわれわれ無辜の民の論理とかけ離れているものだと驚き入る。
国交省に属する職員約4万人の、その2割に相当する約8000人分の人件費で、06年度で約680億円の支出だともいう。

成程こんな構造だから、頑ななまでに一般財源化を拒絶するのも無理はない、まるで省益の守護神の如く答弁に立つ冬柴国交相の渋面のこわばった表情がまざまざと思い出されもする。
だが、今頃になってこんな事実が表沙汰になるというのは、評論家やマスコミも含め、一体どういう事なのだろう。長年、行革やら財政改革が叫ばれつづけてきたなかで、こんなことは評家諸氏、政治部や国会詰めの記者なら百も承知のことでなければなるまいと思うのだが、本当にこれまで知らなかったとすれば、日々一体なにを追っかけてきたのだろうか、まこと不可解なことこのうえない。


<連句の世界−安東次男「風狂始末−芭蕉連句評釈」より>

「霽の巻」−19

   五形菫の畠六反      

  うれしげに囀る雲雀ちりちりと  芭蕉

囀-さえず-る、雲雀-ひばり-

次男曰く、二-名残-ノ折入。執筆の正平が実は亭主-重五-の仮の名だとすれば、「五形菫の畠六反」はいっそう興に乗せて読めるだろう。たぶんそうだったらしい、と思わせる芭蕉の作りである。雲雀揚るうらうらとした景を句の表にして、和気藹々とした一座の情を裏に含ませている。

   仏喰たる魚解きけり      芭蕉
  県ふるはな見次郎と仰がれて   重五
   五形菫の畠六反        杜国
  うれしげに囀る雲雀ちりちりと  芭蕉

というはこびは、偶々五吟の順の定法に従ってそうなったまでだが、一巻の見どころを成す。
とりわけ花の綴じ目-初折の折端-に機転の妙手が出ただけにこの移りはいっそう効果的で、芭蕉は重五・杜国の付合に上々機嫌と見える。

諸注、「註に及ばず、其場なり」-秘注-、「五形菫の咲揃ふ野づらの暖なる気色を附たり」-升六-、
「前句をよく味わへば、此句は解を須たずして詩趣現前すべし」-露伴-、
「前句の景気に付しまでにて別意なく、解くまでもなし」-樋口功-、
「前に大魚の奇警に人を驚かした芭蕉は、ここではただ軽い捌きを見せて居る」-穎原退蔵-
などと云うが、果たしてそうか、と。


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