秋の田をからせぬ公事の長びきて

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―世間虚仮― Nepal、共和制へ

いよいよと云うかやっとと云うか、ネパールが王政から共和国へと移行したと伝えられている。

28日、新憲法を制定する憲法制定議会は、240年続いた王制の廃止と連邦共和制の導入を宣言して新生国家としての歴史的第一歩を踏み出し、「ネパール王国」から「ネパール連邦民主共和国」になった、と。
まずはめでたし、とはいえ前途もまた多難のようである。

実質上の行政権の長たる首相には、議会第1党となった毛派-共産党毛沢東主義派-のプラチャンダ書記長がなる見込みというが、屋上屋を架す、政治的権限をもたぬ象徴としての国家元首たる大統領を置くとされており、新政府の船出早々、この人選と権限をめぐって紛糾しているという。
民間へ降りビジネスに専念するという前国王ギャネンドラを支持する勢力もなおくすぶっているようだし、不安定要素に事欠かない情勢。

連邦共和制を採りながら大統領は象徴とし、イギリスやわが国にも似た議院内閣制ともいうべき奇妙な政治体制。
民主化へと、安定化へと、軟着陸させていく道のりは、まだまだ遠いのだろうか‥。


<連句の世界−安東次男「風狂始末−芭蕉連句評釈」より>

「雁がねの巻」−31

   砧も遠く鞍にゐねぶり  

  秋の田をからせぬ公事の長びきて  越人

次男曰く、名残裏入である。

刈入れをすっかり遅れさせたのは、訴訟沙汰が長引いたからだ、と付けている。はこびを手間取らせたのは私の不手際からだ-申し訳ない-、と読替えればよい。越人の恐縮である。秋三句目を以てしたうまい付だが、「砧も遠く鞍にゐねぶり」がなければ思い付く筈もない人情である、と。

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