なは手を下りて青麦の出来

Alti200638

―四方のたより― 返り咲き、お見事!

今日-8/24-、箕面市では市長選と市議選の投票日だった。

午後10時を過ぎたいま、Netでも開票速報が流されるとあって、箕面市選管のホームページを開きながら、これを綴っている。

午後8時で締め切られた投票の、地域別投票率はすでに明らかとなっており、前回49.92%に比べ、50.73%と僅かながら上がっている。そのぶん市長選への関心が高かったのではないかと推測される。

この選挙、告示が先週の日曜日-17日-だったが、実は、その前日の土曜の午後、私は市議選に立った内海辰郷君の選対会議に出席するべく急遽箕面に出向いた。格別の依頼があった訳でもなく、また友情応援といったところで役に立つなにほどのこともないのだが、昨春の谷口豊子選挙-大阪市議選-以来の経緯もあれば、知らぬ顔の半兵衛では居られなかったのだ。

選対会議には、その谷口夫妻も顔を出していた。すでに彼らの場合は、ウグイスや演説会弁士など、可能なかぎりの日程でボランティア戦士を務めることを約していた。いわば昨春とは主客を替えての選挙という訳だ。

私はといえば、そこまでやれる時間も余裕もないので、あくまでも陣中見舞といった体で、Observerとして参考までになにがしか意見を述べてみるにすぎない立場に置いた。

小さな旅から帰って翌日の20日、21日と、最終の23日、両三度選挙事務所を見舞ったものの滞在時間はそれぞれ2〜3時間ほど、内海選挙の現況を一応見届けるといったほどのことで、どこまでも戦力外の付合いに終始した。

箕面市議を5期20年、議長をも務めたことのある内海辰郷は、4年前市長選に転じて一敗地に塗れ、在野に下っていた。このたびの選挙はその後の4年の空白を経て、市議返り咲きの闘いである。

数ヶ月前から彼はひたすら歩きつづけた、数千軒の家々をひとつひとつ訪ね歩いてきた、という。

「停滞する市政に活! 5期20年、いまふたたび立つ! ウツミタツクニ」
「生まれ変わって、立つ!  ウツミタツクニ、ウツミタツクニ」
「雨にも負けず、風にも負けず、夏の暑さにも負けない、ウツミ、ウツミタツクニ」
「賢治の心で、ウツミタツクニ、我が街、みのおの立て直し、ウツミ、ウツミタツクニ」
「あなたの思い、あなたの願い、市民の目線に立つ! ウツミタツクニ」
「地域の思い、地域の願い、地域の目線に立つ! ウツミタツクニ」

選管による開票速報では、先に開票されている市長選の最終得票が午後10時47分付確定。現職の藤沢市長が敗れ、中央官僚出身の倉田哲郎が当選、34歳は全国最年少首長の誕生となる。

ついいましがた、私の携帯が鳴った。谷口夫君からの一報だ。最終得票はまだだが、11時30分現在、内海候補の得票は2000、当確である。
25議席に32人の立候補、事前予想では1200票前後が当落ラインと云われた選挙戦である。

このぶんなら上位当選まちがいなし、よかった、よかった。


<連句の世界−安東次男「風狂始末−芭蕉連句評釈」より>

「梅が香の巻」−30

  法印の湯治を送る花ざかり 

   なは手を下りて青麦の出来  野坡

次男曰く、二句一意の人情に景の付である。

一読、湯治を見送りがてらの其人の所感と読みたくなるが、それでは三句同一人物、はこびが輪廻になる。「なは手を下-ヲ-りて」は縄手-畷-の下はと軽く読んでおけばよい。誰某がわざわざ畦道から下りて見るわけではない。とは云っても、「下りて」が読みを躓かせることは免れがたく、その決着を野坡は季移りに求めているらしい。

青麦は今では兼三春の季だが、古くは「毛吹草」「増山の弁」「糸屑」-元禄7年成-など、初夏に扱っている。評釈はいずれも春四句続と読んでいるが、そうではないのだろう。

「-花-盛」とあれば「-畷を-下りて」と承けて晩春・初夏の季節の移りを匂わせ、法印が湯治から戻ってくる頃には「青麦の出来」も穂に出る、と云っているように読める。ならば含は衣替の候までには撰集の目処もつける、ということだ、と。


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