そつとのぞけば酒の最中

Yugekitaikaizinbesso

Information – 四方館 DANCE CAFE –「出遊-天河織女篇-」

−四方のたより− 次は「海神別荘」とや

眠い、怠い‥、身体が重い‥。
数日前、とうとう連合い殿に体重計にのって体脂肪チェックをされてしまった。数値はすでに肥満域に達していることを示していた。腹囲もいつのまにか驚くべきほどになっている。こんな為体ではKAORUKOが成人して嫁入婿取するまで健康体で過ごせるなど、とても覚束ないことだろう、どうにかしないと‥ア、カ、ン。

泉鏡花の戯曲を原文そのままに上演を続けている遊劇体が、その5作目として「海神別荘」を採りあげ、この11日から一週間、心斎橋のウィングフィールで公演する。

送られてきたチラシを一瞥、「海神別荘」てのは、昔、文学座あたりが演ったのじゃなかったか、といっても腰の重い私のこと、わざわざ観に行くなどしていないのだけれど、そんな遠い記憶がよぎったのだが、件のチラシをよく読めば、文学座から別れた劇団雲が74年に今は亡き芥川比呂志演出で上演している。初演はさらに遡って55年、久保田万太郎の改補演出による歌舞伎座での上演、これは花柳章太郎水谷八重子の新派の舞台だったそうな。

昨年6月、精華小劇場で観た遊劇体の前作「山吹」については、ここでも「抑制された様式性をよく貫徹された演出であった」とその感想を記した。

「深い海の彼方の底には、龍宮城の乙姫様の弟である貴公子が住む別荘がある。そこは果てしなく美しく豊富な宝で満ちた理想郷だ。その海神の御殿へ、漁業で細々と生計を立てていた漁師の娘が輿入れにやってくる。漁師は自分の欲望と引き換えに、娘を売り飛ばしたのだ。」
夢幻能にも似た抑制した様式的演出のキタモトマサヤは、鏡花独特の幻想美の世界を、こんどはどんな手際でものして見せるか、ウィングの狭小な空間が気にはかかるが、楽しみではある。


<連句の世界−安東次男「風狂始末−芭蕉連句評釈」より>

空豆の巻」−04

  上張を通さぬほどの雨降て  

   そつとのぞけば酒の最中  利牛

次男曰く、俄雨に遇って軒下に駆込み雨のあがりよりも濡れ具合の法を気にしている、と読取って付けたところが作である。濡れるでもなし濡れぬでもなし、なんとなく中途半端な気分の乾きを遣ると、屋内は酒びたしだった、というところが面白い。

尤も、覗きの心理を着物から建物へ移したまではよいが、初折もまだ表4句目のはこびに「酒の最中」などと作る軽躁ぶりはどういうものか、と見咎めていると、次が月の定座だと気付く。月見に酒はつきもの、これは催促の作りである。併せて、「そつと」と「最中」の取合せに滑稽の工夫があるとわかる、と。

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