寒ン空、二人連れは男と女

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―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-15-
1月11日、曇つて晴れる、雪の後のなごやかさ。

いつものやうに、御飯を炊いて、そして汁鍋をかけておいて湯屋へ。−
あんまり寒いから一杯ひつかける、流行感冒にでもかかつてはつまらないから、といふのはやつぱり嘘だ、酒好きは何のかのといつては飲む、まあ、飲める間に飲んでおくがよからう、飲みたくても飲めない時節があるし、飲めても飲めない時節がある。‥

事実を曲げては無論いけない、といつて、事実に囚へられては、また、いけない-句作上に於て殊に然り-。

※表題句の外、8句を記す

−四方のたより− 今日から

一年の垢落としという訳ではないけれど、ちょいと小旅行に出かけます。
元日に帰阪の予定、それまでブログはお休み。

−今月の購入本−
・藤井直敬「つながる脳」NTT出版
脳科学の行く手にたちはだかる大きな壁−、技術の壁、スケールの壁、こころの壁、社会の壁。これらの壁に対して、最前線の脳科学者たちは、どのように問題を解決しようとしているのか。自由意志や社会的適応、ココロの理論、あるいは脳科学の実験環境や、話題のブレイン-マシン、インターフェイスなどを押さえながら、「脳と社会」の関係性から脳の解明を目指す気鋭の論考。

東浩紀北田暁大編集「思想地図 vol.3-アーキテクチャ-」NHKブックス
建築から社会設計、コンピュータ・システムまで、私たちの「生」をコントロールする、その多様なあり方に迫る。アーキテクチャの権力にどう対峙するべきか。イデオロギーが失効した時代の批評の新たなる可能性を切り開こうと‥。

東浩紀北田暁大編集「思想地図 vol.4-想像力-」NHKブックス
情報や消費環境の変化により、個人はそれぞれの「心地よい」島宇宙に自閉し、社会は分断されてしまった。「大きな物語」が機能不全に陥ったこの時代、 われわれの想像力は、はたしてどのような未来を描きうるのか。村上春樹から政権交代折口信夫からエヴァまで、さまざまな領域を横断しながら、ときに「未成熟」と批判される日本的想像力のありかたを徹底的に吟味することで、未来を切り開く知の可能性を。

池澤夏樹「ぼくたちが聖書について知りたかったこと」小学館
池澤夏樹が自身の従兄弟でもある聖書学者・秋吉輝雄に聞く聖書の読解法。どちらかといえば旧約が専門の秋吉は、ユダヤ人とは何なのか?という解等困難な問いを常に意識しつつ、彼らの言語や生活習慣や世界認識の特殊性を様々な角度から説明し、その物語が発生した同時代の文化状況や、それが「書」として編集され人々に受容されていく過程での政治的な諸力の、いわば織物として出来上がっているという歴史的な事実を平易に伝えてくれる。

渡辺公三「闘うレビュ=ストロース」平凡社新書
レヴィ=ストロースの壮大な思想は、安易で図式的な理解を拒む。百年を超える生涯を通じて、彼は何と闘ってきたのか。野性の生きものとの接し方に看取されるレヴィ=ストロースの「世界との接し方」と、構造主義と呼ばれる「ものの見方」とのあいだに存在する関係とは何か。 あるいは、「彼らとの出会いの場」を「私によって私の位置」において作出するというレヴィ=ストロースにとっての人類学の企図が、どのような種類の、どれほどの知的な作業を必要とされるものだったか。

スガ秀実「1968年」ちくま新書
世界史を画する歴史的なTurning Pointだった−1968年、前史としての<60年安保>から、ベ平連全共闘運動を経て三島事件連合赤軍事件に終わるまでの激しい時代を、新たに発掘した事実を交えて描く。

山城むつみ「文学のプログラム」講談社学芸文庫
「書くこと」でいかに「戦争」と拮抗しうるのか、小林秀雄坂口安吾保田與重郎の戦時下における著述を丹念に辿ることで、時局に追従する言説と彼らとの距離を明らかにし、保田の「万葉集の精神」を起点に、日本文を成立せしめた「訓読」というプログラムの分析へと遡行する評論。1995年の大田出版刊が底本。

・関幸彦「百人一首歴史学NHKブックス
中世史を専門とする歴史学者ならではの、栄華を誇った王朝の記憶のTapestryたる「百人一首」の歴史的読解。

他に、広河隆一編集「DAYS JAPAN -2010/01」

−図書館からの借本−
・野田正彰「教師は二度、教師になる」太郎次朗社
子どもとの関わりのなかで、人はいかにして「教師になる」のか。副題に「君が代処分で喪ったもの」とあるように、国旗・国家の強制と処分によって精神の危機に曝された教師たち13人への詳細な聞取りを通して、彼らの教育観と生き方を伝え、その葛藤のありようを精神医学の視点から読み解く。

石川九楊「書の終焉-近代書史論-」同朋社
毎日新聞の書評「今週の本棚」における年末特集、評家書誌による「今年の三冊」で、何人もがともに挙げていた「近代書史」。おそらくはその助走の著と目されよう「書」の近代史論考。

石川九楊「一日一書 -02-」二玄社
歴史・文化・芸術・生活‥、あらゆる分野を縦横に駆けめぐりつつ、毎日一文字の「書」との出会いが一日を豊かにしてくれる。「京都新聞」連載のコラムに大幅に加筆、単行本化したシリーズの第2弾。

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