死をまへの木の葉そよぐなり

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―山頭火の一句― 行乞記-再び -01-

三百余日の空白の後、昭和6年の12月22日より再び行乞記として日記が始まっている。
日記の冒頭に、表題句の外、次の3句を掲げている

 死ぬる夜の雪ふりつもる
 陽を吸ふ
 生死のなかの雪ふりしきる

12月22日、晴、汽車で5里、味取、星子宅。

私はまた旅に出た。−
「私はまた草鞋を穿かなければならなくなりました、旅から旅へ旅しつづける外ない私でありました」と親しい人々に書いた。
山鹿まで切符を買うたが、途中、味取に下車してHさんGさんを訪ねる、いつもかはらぬ人々のなさけが身にしみた。
Sさんの言葉、Gさんの酒盃、和尚さんの足袋、‥すべてが有難かつた。
積る話に夜を更かして、少し興奮して、観音堂の明けの鐘がなるまで寝つかれなかつた。

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