あんなに伸びて朝月のある空へ

uvs050420-008-1 「Lesson Photo in Asoka」より


<言の葉の記>


<たかんな−筍づくし>


筍が美味い季節。
筍、竹の子。古名を、たかうな、たかんな、ともいう。

花山院の詠んだ歌の前書に
−冷泉院へたかんな奉らせ給ふとてよませ給ひける、とあり
世の中にふるかひもなく竹の子はわが経ん年をたてまつるなり

孟宗竹の筍は、もっとも早生で、もっとも肥えて肉多く、柔らかく歯あたりが良いそうな。京都府大山崎界隈の孟宗竹の味は名高い。

筍が季題となったのは意外と新しいそうだ。勅撰集の頃はまだ認められていなかったらしい。
山本健吉氏は、連歌時代に夏として出たのが初出かと推測している。
江戸の俳諧になると季語としてすでに定着している。

  竹の子や児(ちご)の歯ぐきの美しき    嵐雪
皮を剥いだ筍と幼な児の歯ぐきの白さとの見立てが鮮やか。

  竹の子の力を誰にたとふべき       凡兆
この凡兆の句なぞは諧謔味あふれて川柳のセンスに近いかと思う。

  笋(たけのこ)のうんぷてんぷの出所かな  一茶
うんぷてんぷの出所、とは一茶らしい面白い思い付きだと感心させられる。

  筍や目黒の美人ありやなし        子規
東京目黒の筍飯は名物としてつとに知られていたから、子規はそこを踏まえて詠んでいるのだが、目黒の筍飯を知らないとなにがなにやら分からなくなる。



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