田植唄もうたはず植ゑている

<言の葉の記>


<早苗とる−田植え>


   白河の関こえて
 風流のはじめや奥の田植うた 芭蕉


日本列島はいま田植えの真っ盛りだろう。
彼方此方からの田植えニュースがひつきりなしにある。
古歌では田植えのことを「早苗とる」と言っている場合が多いようで、
その古意の面影を宿して芭蕉の詠んだであろう句が

 早苗とる手もとや昔しのぶ摺  芭蕉


田植えが村挙げての行事であり、神事でもあった頃の田植えの指揮者は、
祭りの故実に通じ、数百章もの田植え歌をそらんじていなければ勤まらなかった、
というから今の世では想像しがたいような話だ。


 つれよりも跡へあとへと田植かな  千代女


 勿体なや昼寝して聞く田植唄  一茶


今に残る田植え歌を聞かせてくれるサイトを探してみた。
都会のコンクリートジャングルの中で、
ひととき田植え風景を連想しながらお聴きになっては如何。

「鹿児島・喜界島の田植え歌」
「広島・安芸地方の原田はやし田の半掛という田植え歌」


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