ずんぶり温泉(ユ)のなかの顔と顔笑ふ

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  東条湖おもちゃ王国にあそぶ」


<日々余話>


<侮るなかれ、優れもの温泉銭湯>


近頃の温泉銭湯はなかなかに侮れないものと思い知らされました。
芦屋の足湯をいち早く一報してくれた芦屋の下町に住まいする友人T氏が、
これまた、こんないい銭湯があるよ、とばかり紹介してくれたのが、
神戸市灘区の水道筋商店街の東端に位置する、35℃の源泉かけ流しの湯がある温泉銭湯「灘温泉」


昨日(6/22)、K女が毎日喜んで通う保育園をなぜか今日はお休みすると宣うので、
ならばこの機に乗じて榊原温泉に匹敵?しようという源泉かけ流しを試すべしと、早速お出かけあそばした。
折角、神戸の王子付近まで行くのだから、王子動物園で充分楽しい思いをさせてやってから、あまりお好きでない温泉入浴を課そうと考えて、まずは王子動物園まで車を走らせたものの、玄関前は閑散として駐車場入口も閉ざされている。立て看を見ればなんと水曜日は定休日。南無三シマッタ!出かける前にネットで入園料のチェックはしたものの、あわてていたので定休日の確認までしていなかったのが運の尽き。
ご機嫌を損ねたK女に平身低頭、おやつで宥めすかしながら件の温泉銭湯・灘温泉へ。
銭湯客には一時間位までは無料の駐車場が併設されているのもありがたい。
平日のお昼時だからさすがに湯客は少ないが、それでも年配者ばかりでなくなぜか若い客も居た。源泉の湯槽は思ったよりもひろく詰めれば8人〜10人は入れる。
榊原温泉元湯の源泉は公称32℃だが、体感としては27〜8℃だろう。ここはご丁寧にも湯槽に温度計があって30〜1℃あたりを指している。冷やりともせず馴染みやすい体感温度で、K女も愚図つきもせずなんとか一定時間は浸かっている。
泉質はナトリウム−塩化物・炭酸水素塩温泉でpH7.1の低張性・中性温泉とある。
おとなしく長湯は望むべくもない幼な児には気分を換えてやらなければならない。10分あまり浸かってか、こんどは洗い場に行って身体を洗ってやる。シャンプーして頭からシャワーをかけたら眼に入ったか泣き出される始末で、普段馴れないことをやるとお粗末なこと夥しい。ゴメンゴメンとまたまた謝りつつこんどは露天の方へ。ここは40℃位だから5分ともたない。仕上げにもう一度、ぬるいぬるい源泉の湯槽へ浸かること15分ばかりか。ちょうど同年位の湯客が「女の子はおとなしくていいね。うちは男の子だからそんなにじっとしてくれない」なんて声をかけながらあがっていく。孫のことを引き比べて言っているのだろうけれど、此方は孫のようなお子様だから「そうですな」と肯き返しながらも些か面映ゆさが心の内に波立つ。
総二階建てで、一階が男湯、二階が女湯となっているから、ほぼ同じスペース取りの構造なのだろう。一階ロビーにはちょいとした待合になる喫茶風の空間があるのもうれしいが、全館禁煙なのが私などには辛いといえば辛い。
ジェットバスも、弱電の電気風呂、打たせ湯も、サウナも一通り揃って、洗い場もかなりのスペースを取っている。
大人380円、中人130円、小人60円と、サウナは別途150円也。普通の銭湯価格という安価でこの充実ぶりは頼もしいかぎり。これで泉質がK女のアトピー体質に合えば言うことなしだが、それは尚早に判断はできない。
約一時間の滞在にて車に乗り込む。帰路はお礼方々芦屋のT氏宅にお邪魔虫と相成る。
なにしろT夫人はK女の数少ないひどくお気に入りのおばちゃんだから、ご厚意に甘えてばかりのご訪問となるのである。


別事ながら、
先日(6/17付)、三浦つとむ吉本隆明の所縁>と題した一文で、
吉本隆明の「追悼私記」には三浦つとむへの悼辞の掲載はなかった、
と書いてしまったが、ふと手にとって確認したところ、「三浦つとむ・他」の項があったので、ここで訂正しておきたい。
吉本は三浦につとむについて、「インテリ見知り」の人だったと表し、「独学で刻苦して論理を学び、働き、喰べながら勉強した人だったから、インテリやくざと肌があわなかった」と述べ、また「『試行』の執筆者であり、協力して校正などに身を入れてくれた時期もあり、重要な存在だった」と記している。
夏目漱石には「文学論」という理論の書があった。遥か遠い記憶の彼方、その書を紐解いたことはあったが、はて最後まで読み通したのかどうかさえはっきりしないが‥‥。
吉本は、三浦つとむ漱石論に触れ、「漱石は文学とはなにかを科学的につきつめていって、自分のつきつめた或はつきつめきれなかった文学理論を実際に作品で試みるために小説を書き始めた」という「文学理論家が小説を書くようになった」漱石観を卓見として評価している。


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