葛の葉のうらみにかへる‥‥

N-040828-031-1

−今日の独言−

四面楚歌か? 市長辞任、出直し選挙。
 関市長が辞任を表明した。
職員厚遇問題で昨年から叩かれつづけている大阪市は深刻な財政破綻を抱えてもはや重篤状態だが、旗を振る関市長の再建策は、足並み揃わぬ与党会派の理解を得ながらの調整作業や推薦団体の市職労組の根強い抵抗などの所為か、なかなか大鉈をふるえず遅々として進まない。
地方行政の首長には議会の解散権がない。ならば残された手法は自ら辞任し、出直し選挙で市民に信を問う形しかないという訳だろうが、さてこの非常手段が果たして血路を開くことになるのか、愈々混迷の淵に落ち込んで抜き差しならぬことになるのか、まったく不透明で予断が許さない。
関市長に請われて民間登用された大西光代も足並みを揃えて助役を辞任するが、出直し選挙で仮に関市長が再選されても、再び助役に就く意志はないといっているのもよく判らない。小泉首相の解散騒ぎで候補者にと請われたり、他分野から寄せられる期待も大きかろうが、この時点でのコンビ解消は混迷に拍車をかけるのは必至、との認識は彼女にはないのかな‥‥。


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<秋−10>

 白妙の袖の別れに露落ちて身にしむ色の秋風ぞ吹く   藤原定家

新古今集、戀五、水無瀬戀十五首歌合に。後朝(きぬぎぬ)− 一夜を共寝して迎えた朝、その別れ−を、「袖の別れ」と表したとき、一首の冴えは決したとみえる。和泉式部の「秋吹くはいかなる色の風なれば」を意識して作られたかと。


 葛の葉のうらみにかへる夢の世を忘れがたみの野べの秋風   俊成女

新古今集、雑上、寄風懐旧といふことを。葛の葉の「うらみ」は裏見−恨みの懸詞は使い古されたものだが、「夢の世」はここでは過去を思わせ、「忘れがたみ」に響かせて情を盡くすあたり、当代屈指の感しきりとか。


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