秋深み黄昏どきのふぢばかま‥‥

041219-047-1
<Shihohkan Improvisation>

−今日の独言−

波乱の幕あけ、濃霧でコールド
 昨夜、日本シリーズの第一戦をTVで観ていたが、なんと濃霧でコールドとはとんでもない幕開けになったものだ。試合は中盤以降、ロッテが圧倒、終盤での阪神の明日につながる反撃が期待されるのみとなったが、6回頃から球場全体に濃霧が立ち込めだし、テレビの映像がほのかに白く膜がかかったようにぼやけてきたかと思えば、7回にはもうすっかりと濃霧に包みこまれた状態。海辺に近い球場とて、浜風が特有の舞い方をする球場だと話題になっていたけれど、突然発生した濃霧で試合中断のすえコールドゲームとは思いもかけない珍事。今年のシリーズはかなり愉しめるものとなりそうだと期待はしていたが、球場の立地条件で自然の異変まで絡んだ演出になるとはだれが予想しえたろうか。パリーグプレーオフでロッテは意外性に富んだとてもいいチームだとの印象をもったが、マリンスタジアム自体までこれほど意外性に満ちていたとはネ。勝敗の行方を超えてさらに面白くなりそうだ。


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<秋−15>

 秋深み黄昏どきのふぢばかま匂ふは名のる心地こそすれ   崇徳院

千載集、秋、暮尋草花といへる心を。日暮れ時を表す「黄昏」は「誰そ彼」よりきたる。
秋深いその黄昏どき、草原のなかでひときわゆかしく匂う藤袴の花のその芳しさは、誰そ彼との問いかけに名告りをあげているようだ、の意で、「名のる」は「黄昏」の縁語となっている。
邦雄曰く、切々としてしかも藹々たる味わい、帝王の歌というに相応しい調べ、と。


 月草に衣は摺らむ朝露にぬれて後には移ろひぬとも   作者未詳

万葉集、巻七、譬喩歌、草に寄す。「月草」は露草の古称。
歌意は、月草に衣を摺り染めよう、たとえ朝露に濡れて色褪せてしまおうとも。
邦雄曰く、ほのかに恋の趣をも秘めていて、それも表れぬほどに抑え暈しているのが、素朴なあはれを漂わせて忘れがたい、と。


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