箱根路をわが越えくれば‥‥
Information−Aliti Buyoh Festival 2006−
−今日の独言− 祈りの日になぜ?
1.17、阪神大震災から11年というこの日に、なぜこうも重苦しく騒擾とした報道が溢れているのか。
耐震偽造マンション事件のヒューザー小嶋社長の国会証人喚問は、殆どの質問に対し証言拒否を貫くというとんだ茶番劇で被害関係者はおろか関心を寄せるすべての者を暗澹たる思いに陥れた。前夜、東京地検は証券取引法違反の疑惑でライブドアに強制捜査に入り、17日の日経平均株価は大暴落、このところ景気回復を反映し堅調に推移していた株式市場の混乱はしばらく続くだろう。同じ日、最高裁第3小法廷は、17年前の連続幼女殺害事件の宮崎勤被告に対し、上告を棄却し死刑を確定させた。
<雑−9>
箱根路をわが越えくれば伊豆の海や沖の小島に波の寄る見ゆ 源実朝
続後撰集、羇旅、箱根に詣づとて。
邦雄曰く、実朝の代表歌とされてきたこの歌、新勅撰集には採られず、次代の為家になってやっと陽の目を見た。三句「伊豆の海や」の一音余りが、この大景をぐっと支える役割を果たし、悠々として壮大な叙景歌となった。実朝詠は古来その万葉調を嘉されてきたが、必ずしも万葉写しのみで生れる歌ではない。天来の調べ、と。
たまきはる宇智の大野に馬並めて朝踏ますらむその草深野 間人老
万葉集、巻一、雑歌、天皇、宇智の野に御狩したまふ時。間人老(はしひとのおゆ)−伝不詳、この折の長歌と当該の反歌以外伝わっていない。
天皇は舒明。たまきはる−うちに掛かる枕詞。宇智の野−現在の奈良県五條市の北、金剛山裾野にひろがる丘陵地帯。
邦雄曰く、結句「その深草野」の短く太やかな響きも、思わず洩らした吐息のようで心に柔らかに響く、美しい調べ、と。
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