家にあれば笥に盛る飯を草枕‥‥

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−表象の森− ATOK2006

先頃、語入力ソフトをMS-IMEからATOKに変えた。
私のような圧倒的に日本語でしか作業していない者にとって、MS-IMEの非効率、頭の悪さは苛立たしいばかりで、もういい加減うんざりでしていたところ、ATOK2006の試用版があるのに気づいてダウンロードしてみた。1ヶ月無料体験版というやつだ。Officeとの連携機能も進化しているようだし、辞書の引継ぎや文書からの取込み機能などずいぶん便利、MS-IMEに比べるべくもない快適さである。という次第で、試用期限も残り少なくなったことだし、9000円強はちょいと痛いが、このほどATOK2006の電子辞典セットを購入。
その分、今月の購入本は些か自粛気味。このところ積ん読本が机の周りに文字通り積み重なっているし、図書館の利用も多くなっている。梅雨入りしてじめじめと蒸し暑いばかりで、時候はあまり適しているとは言い難いが、精を出して消化に励むべし。


 今月の購入本
末木文美士「日本仏教史−思想史としてのアプローチ」新潮文庫
池谷裕二糸井重里「海馬−脳は疲れない」新潮文庫
梅原猛「京都発見(五)法然と障壁画」新潮社
梶野啓「複雑系とオートポイエシスにみる文学構想力―一般様式理論」海鳴社

 図書館からの借本
四方田犬彦白土三平論」作品社
下向井龍彦「武士の成長と院政 日本の歴史07」講談社
辻惟雄「遊戯する神仏立ち−近世の宗教美術とアニミズム角川書店
辻惟雄「日本美術史」美術出版社
葛飾北斎北斎の奇想−浮世絵ギャラリー」小学館
中村幸彦中村幸彦著述集 第8巻」中央公論社
ドナ・W・クロス「女教皇ヨハンナ−上」草思社


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<雑−21>
 家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る  有馬皇子

万葉集、巻二、挽歌、自ら傷みて松が枝を結ぶ歌二首。
舒明12(640)年−斉明4(658)年、幸徳王の皇子、母は小足媛。蘇我赤兄らに謀られ謀反の廉で処刑さる。
邦雄曰く、有馬皇子は斉明朝4(658)年、唆され謀反を企てて捕えられた。断罪のため護送される途中、紀伊藤白坂での詠二首。あと一首は「磐代の浜松が枝を引き結び真幸あらばまた還りみむ」。時に18歳。願いに背いて再び松を見ることなく絞首されて果てた。草枕とはいえ、これは黄泉への旅の道行歌であり、悲嘆の最たるもの、と。


 石間より出づる泉ぞむせぶなる昔をしのぶ声にやあるらむ   平兼盛

拾遺集、雑中、荒れたる宿にて詠める。
邦雄曰く、懐旧の情に堪えず岩石の隙から噴く水がむせび泣くような音を立てる。それほどに宿は荒れ果てて、栄えていた往時を偲ぶ心さえも、過ぎ去った恋に似る。新拾遺の雑中には、この他、西行や能因など、昔を恋う趣の作が配されている、と。


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