秋の夜の霧立ちわたりおぼろかに‥‥

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−四方のたより− ひさしぶりにDance-Café

 ひさしぶりに「四方館DanceCafe」開催のご案内。
今年4月27日以来だから5ヶ月ぶりだ。


今回のタイトルは、
Chant d'automne ――秋の歌―― とした。


  「秋の日のヴィオロンの‥」
  と歌ったは、彼のヴェルレーヌだが
  ボードレールならば
  「われらやがて、冷たき闇の中に沈み入らむ」
  と冒頭の一行を置いた。
  定家なら、
  「見渡せば花も紅葉もなかりけり‥」、が夙に名高いが
  「いかにせむ菊の初霜むすぼほれ
            空にうつろふ秋の日かずを」
  この歌もなかなかに捨てがたい。


とき:9月28日(木) PM7:00〜
ところ:フェスティバルゲート4F COCOROOM


Dancer : Yuki Komine.Junko Suenaga.Aya Okabayashi
Pianist : Masahiko Sugitani
Coordinator : Tetsu Hayashida


とりたてて新奇なことは考えない、いつもの趣向で、いつものように。
メンバーの日頃のImprovisation−即興−の研鑽を、
ただ粛々と心静かにご披露するのみ。
もちろん、トークタイムもあり、
みんなでお茶をしながら、いろいろ語り合えればこのうえない。


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<秋−56>
 深く思ひ初めつといひし言の葉はいつか秋風吹きて散りぬる   藤原時平

後撰集、恋五、女の許より定めなき心ありなど申したりければ。
元慶4年(880)−天暦3年(949)。貞信公と諡され、また小一条太政大臣とも。関白基経の長男。基経の死後、氏長となって藤原氏全盛の基礎をつくり、延喜格式を完成。摂政・関白・太政大臣を歴任。右大臣菅原道真を讒言して太宰府に左遷させたことでも知られる。小倉百人一首に「をぐらやま峰の紅葉こころあらばいまひとたびのみゆきまたなむ」、後撰集以下に13首。
邦雄曰く、恋心と秋、すなわち「飽き」を一方に置き、「言の葉」の葉が秋風とともに散ると、人の心のはかなさを歎く。下句の淡々とした放心したような呟きが、技巧的な恋歌群のなかにあって、かえって印象に残る。道真を失脚させた辣腕の政治家も、後撰集に多くを残した歌人。「右流左死」の譬えどおり、壮年38歳の死、と。


 秋の夜の霧立ちわたりおぼろかに夢にそ見つる妹が姿を   柿本人麿

万葉集、巻十、秋の相聞。
邦雄曰く、上句全体がそのまま、第四句、さだかならぬことの序詞であると同時に、「秋の相聞」として、まのあたり濃い夜霧の立ちこめている情景を歌っているとした方が、一首の味わいは勝ろう。第四・五句の倒置も、口疾に告げようとする姿が浮かんで生きている。第三句は「おぼほしく・ほのかにも」等、幾つかの訓が行われている、と。


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