幾夜われ波にしをれて貴船川‥‥

Yagaiengeki20061

Information−Shihohkan Dace-Café−


−四方のたより− 大阪野外演劇フェスティバル

今年も劇団犯罪友の会など関西野外演劇連絡協議会に参集する劇団たちが、9月から11月初旬まで、大阪野外演劇フェスティバルで競い合う。
参加の劇団各々が、思い思いに独自の仮設劇場を現出させて、それぞれの演目を小屋掛け芝居よろしく上演するという大阪ならではの劇場型祝祭だ。
今年でもう6回目を迎えるというこの大阪ならではの些か型破りなフェスティバルは、大阪市「ゆとりとみどり振興局」で後援している催し。日経ネット関西版にも詳しい。


ラインアップを以下要約紹介すると、
扇町公園に特設雷魚テントを作る「浪速グランドロマン」の初日は13日だからすでに始まっている。演目は「眠る帝国−現在は閉鎖中の掲示板の書き込みログです−」と一風変わった題。
このテントでは「劇団態変」も、21日〜23日に「ラ・パルティーダ−出発06」を上演する。
中之島公園の剣先広場には、劇団「楽市楽座」が野外特設円形劇場を建てて、「金魚姫と蛇ダンディー」を29日から。
今年から新しい会場として、名村造船跡地にできた「クリエイティブセンター大阪」では、「未知座小劇場」が特設テントで久方ぶりの公演をするのは10月13日からで、座長闇黒光作品「大日本演劇大系」を三部作として。
このテントでは、さらに「劇企画パララン翠光団」が10月28・29の両日に「わたり双樹」を、
劇団「満月動物園」が「カデンツア」を11月2日〜5日にそれぞれ上演。
もう一箇所、難波宮跡公園に野外特設テントを建てるのが武田一度率いる「劇団犯罪友の会」、「かしげ傘」と題された演目は10月19日から25日までの上演。
この仮設小屋では、韓国から参加する「釜山演劇製作所ドンニョク」が東京の「瑠華殿−RUKADEN」と提「Myth Busan−Tokyo Mix」と題した提携公演を10月26と27の両日行う。
尚、それぞれの問合せ先については、「大阪市ゆとりとみどり振興局」HPにあたられたい。

大阪市ゆとりとみどり振興局
http://www.city.osaka.jp/yutoritomidori/report/culture/20060706.html
◇日経ネット関西版
http://www.nikkei.co.jp/kansai/culture/35404.html


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<恋−42>
 有磯海の浦吹く風も弱れかし言ひしままなる波の音かは  宗良親王

新葉和歌集、恋五、天授二年、内裏の百番の歌合に、帰郷の心を。
邦雄曰く、上句「弱れかし」はつれない愛人への祈りに似た哀願の趣も見えるが、下句の逆問は、次に「否」が三つばかり続くような苦みを含んで語気は烈しい。題詠でこれだけの気魄を見せるのはよほどの歌才であろう。。天授2(1376)年は親王65歳。李花集の著者、新葉集選者の、波瀾万丈の一生の終りは、ほぼ10年後のことと伝える、と。


 幾夜われ波にしをれて貴船川袖に玉散るもの思ふらむ  藤原良経

新古今集、恋二、家に百首歌合し侍りけるに、祈恋といふものを。
邦雄曰く、六百番歌合「祈恋」の名作、定家の「初瀬山」と双璧をなす。判者は「左の「袖に玉散る」と云へるは殊に宜しく」云々と褒めて勝とした。「袖に玉散る・もの思ふ」の脈絡が至妙であるが、すでに3年前の二夜百首に「石ばしる水やはうとき貴船川玉散るばかり物思ふ頃」が見える。水しぶきと涙と、その玉と魂が散乱する調べが歌の命である、と。


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