世に経るは苦しきものを槇の尾に‥‥

Dancecafe061227

−四方のたより− 年の暮れの Dance Cafe

七十二候では「熊蟄穴」、
いよいよ熊も穴に籠って冬を越さんとする訳だが、今年も暖冬傾向なれば、餌を求めて彼らもなお山野にあろう。
さて、暮れも迫ってのDance Caféの案内である。
今年の開催はこれまで4月と9月のみの2回だったから、いかにも寂しいと急遽繰り入れたのだが、
まあ、時期が時期だけに、あまり肩肘張らずに気楽に愉しめる一夜としたい。
いつもより早くはじめて、できれば馴染みの顔ぶれたちで年忘れの二次会へと繰り出したいものだ。
と、そんな訳で「越年企画」という次第。


INFORMATION ―――――――――――――――――
  四方館 Dance Café <越年企画>
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From 2006 to 2007 −冬の月−
    in COCOROOM Festival-gate 4F
    Date 12/27 (Wed) 18:00 start
      1coin(500)&1drink(500)

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  Dancer : Yuki Komine
       Junko Suenaga
       Aya Okabayashi
  Pianist : Masahiko Sugitani
  Coordinator : Tetsu Hayashida

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これやこの冬三日月の鋭きひかり 万太郎

  年の瀬も押し迫っての一夜
  越年の集いとしてお愉しみいただければ幸いにて
  さて、年忘れの宴も調えましょうか

                 四方館亭主敬白


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<冬−29>
 世に経るは苦しきものを槇の尾にやすくも過ぐる初時雨かな  二条院讃岐

新古今集、冬、千五百番歌合に、冬歌。
邦雄曰く、沈鬱な心を、むしろ枯淡軽快な調べに寄せた手練れ、さすが新古今時代以前に手法を確立した女流の一方の雄「沖の石の讃岐」の作である。初時雨と決して易々と過ぎてはゆくまいものを、作者の心の苦みを思えば、頷くほかはあるまい。歌合では右、丹後の「難波江に群れゐる鶴も隠れなく蘆の下葉は霜枯れにけり」に勝つ。比較にならぬ秀歌、と。


 神無月しぐるる頃もいかなれや空に過ぎにし秋の宮人  相模

新古今集、哀傷。
邦雄曰く、三条天皇中宮妍子は万寿4(1027)年9月14日崩じた。その翌月の頃、その宮の女房に贈った弔歌。下句は心も空に悲しみに暮れて過したであろう皇后宮の人、との意であり、皇太子の「春宮」に対しての「秋の宮人」。「頃も=衣」の懸詞、さらぬだに降る時雨に、さぞやと察する心、初冬の哀悼歌として、鮮やかに心に残る相模の佳作の一つ、と。


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