一夜さへ夢やは見ゆる呉竹の‥‥

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−世間虚仮− サダム・フセインの死刑執行

正午過ぎ、「フセイン元大統領の死刑執行さる」のテロップが流れた。
またも、ブッシュ米大統領アメリカ政府の意志が強く働いた結果だ。
‘82年のシーア派148人の大量虐殺事件の裁判で、死刑が確定されたのが今月26日。わずか4日後の執行である。
一方で、イラク駐留の米兵死者は12月108名と今年最悪となり、開戦以来3000名に迫るという。
依然イラク情勢は内戦の様相にあり、治安の悪化はさらに強まろう。

覇権主義アメリカのMisleadで、世界はCatastropheへと漂流をつづける。


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<冬−33>
 一夜さへ夢やは見ゆる呉竹のふしなれぬ床に木枯しの風  足利義尚

常徳院詠、文明十六年十月、小川亭に罷りて、冬竹。
邦雄曰く、新古今集、藤原道家の「夢通ふ道さへ絶えぬ呉竹の伏見の里の雪の下折れ」を、一度は心に浮かべて、すぐ搔き消すかの擬・本歌取り。第三・四句の「呉竹のふしなれぬ」は、その意表を衝く大業の技法で拍手するほかはない。他の人なら「夢をだに見ず」と歌うところを、この上句は反語で強調した。多才の人で「新百人一首」も義尚の選とか、と。


 木枯しやいかに待ちみむ三輪の山つれなき杉の雪折れの声  源具親

千五百番歌合、九百四十四番、冬二。
生没年未詳、村上源氏、小野宮大納言師頼の孫、宮内卿の同母兄。品古今集初出、鴨長明「無名抄」に逸話がみえる、と。
邦雄曰く、強いて本歌を挙げるならもほとんどの三輪歌に面影を伝える古今・雑下の「わが庵は三輪の山もと恋しくはとぶらひ来ませ杉立てる門」であろうが、木枯しと雪を配し、しかも枝の折れる音を聞かせるあたり見事な四季歌変貌の手際。天才少女宮内卿の兄の面目あり。右は三宮惟明親王の「志賀辛崎」。季経判は負であるが、紛れもなくこの方が秀歌、と。


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