鳥のこゑ囀りつくす春日影‥‥

Ichibun9811270671

−四方のたより− Green Fesのアンケート

先の神戸学院大学での「山頭火」に対する観客のアンケートが参考までに主催事務局から送られてきた。
6件と意外に少ないが、短くも心のこもったメッセージに感謝である。

◇「ひとりかたりは今回初めて観させていただきました。俳句にあまり詳しくない私です。高校の時、国語で山頭火という名前を知ったと記憶しています。舞台にただ一人で、全てを演じるって大変なことですね。深く、静かな舞台すばらしかったです。琵琶の音色初めて聴きました。林田さんの無駄のない動き、やはり踊りのセンスが光っていました。語りの方、ピアノの激しさ、静・動の舞台感動しました。これからも何回も何回も演じ続けて下さい。」

◇「ひとり芝居、ひとり語りというものを初めて鑑賞しました。『山頭火』をどんな風に演技されるのかとても興味がございました。案にたがわず素晴らしい『山頭火』でした。句がそのまま生きていました。唯々感激いたしました。また、次回も同じように拝見したいものです。」

◇「生きることの辛さ、悲しさ、切なさがよく表現されているようでした。映像を利用して俳句など紹介する手法があるのではと素人考えですが…。」

◇「ひとりの演技に引き込まれ、感動しました。山頭火という人物へ興味を持ちました。また拝見したいです。今日はありがとうございました。」

◇「どの様な山頭火を観られるのか楽しみにしていました。とても驚きましたが、この様な山頭火もあるのだと感激しました。前の方で観ましたが、とても良かったです。ありがとうございました。」

◇「是非拝見したいと願っていました。山頭火のことはほんの少ししか知りませんでしたが今回の劇でよく知ることが出来、嬉しく思います。俳句が詩と同じように心に迫るものがあり、下手な私でも少しは作れるかもと思っています。毎回楽しい企画に心より感謝しております。ありがとうございました。」


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<恋−55>
 鳥のこゑ囀りつくす春日影くらしがたみにものをこそ思へ  永福門院

玉葉集、恋四、題知らず。
邦雄曰く、壱越(いちこつ)調の春鶯囀(しゅんおうでん)でも響いてきそうな上句である。殊に第二句「囀りつくす」には、いよいよたけなわの感横溢、それだけに下句になって急に暗転し、俯きがちに恋人を偲び、遂げぬ契りを忍ぶ姿が鮮明に逆光で顕つ。玉葉は恋四巻首に万葉歌に酷似の「鵙(もず)の草ぐき」据え、二首目永福門院、三首目には道綱母の「諸声に鳴くべきものを鶯は」の趣向、と。


 流れそふ涙の川の小夜千鳥遠き汀に恋ひつつや鳴く  姉小路済継

姉小路済継卿詠草、恋、冬夜恋。
生年未詳−永正15(1518)年、室町後期の公家歌人、基綱の子、正三位参議、家集に「済継集」。
邦雄曰く、冬歌の千鳥が一応歌の中では此の世の海の渚に鳴いていたのに対し、この千鳥は悲恋の涙滝なし、末は流れとなってせせらぐその汀に身を震わせる。16世紀初頭、後柏原天皇時代の有数の詠み手、三条西実隆に教えを受けた。「越えわぶる関のこなたの寝覚めにも知られぬ鳥の音をば添へずや」は寄鳥恋、屈折した調べはなかなかの味である、と。


⇒⇒⇒ この記事を読まれた方は此処をクリック。