宵々の夢のたましひ足高く‥‥

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−世間虚仮− 災害列島

連休を直撃した台風4号は昨日のうちに列島を去ったのに、今夕から断続的に激しい雨が降り続いている。
午前10時過ぎ発生した新潟の中越沖を震源とした地震は、柏崎市を中心に震度6強を記録、各地の被害報道が終日続く。
3年前に震度7を記録し、甚大な被害をもたらした中越地震があった地域だけに、付近住民に与える衝撃は計り知れないだろう。
地震直後、柏崎刈羽原子力発電所では変圧器に火災が発生、2時間余りで鎮火。幸い今のところ放射能漏れの心配はない模様だが、7号機まである原子炉はすべて稼働停止、今後慎重なチェックが要される。
雨はなお強く音たてて降り続いている。
この激しい雨が、明日は被災地一帯を襲うことになりそうだ。
ライフラインの復旧はまだめどが立っていない。


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<恋−71>
 いつはりの限りをいつと知らぬこそしひて待つ間のたのみなりけり  二条為定

大納言為定集、恋、待恋。
邦雄曰く、騙されているのかも知れぬ。契る言葉も、一々疑っていたら限りがない。ただそれがどの程度、いつまでと知らぬこと、知りようのないことこそ唯一の救いであろう。愛する者の心弱さ、恃めぬ愛に縋ろうとする者のあはれを、醒めた言葉で歌いきった。評論の一節か箴言の類を聯想するような曲のない調べながら、それもまた清々しい、と。


 宵々の夢のたましひ足高く歩かで待たむ訪ひに来よ  小大君

小大君集。
邦雄曰く、毎夜、訪れもせぬ人を待ち侘び、せめて夢にでもと、魂は足まめに出向いていたが、それはふっつり止めよう。じっと待機しているから、精々来てくれることだと歌う。諷刺と諧謔にかけては王朝女流中の白眉。品下らぬ程度に辛みのきいたこの種の歌、他に求め得べくもなくまことに貴重である。第二・三句無類の詞、と。


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