夢にだに見で明かしつる暁の‥‥

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−世間虚仮− 中国へコシヒカリ・ひとめぼれ

中国へ日本産の米輸出がはじまったという報道があった。
新潟のコシヒカリや秋田のひとめぼれという日本の代表的銘柄で、第一弾は計24屯だったそうだ。
北京や上海で販売されているというが、この価格が凄い。
コシヒカリは2㎏で198元(約3150円)、ひとめぼれは188元(約2990円)というから、国内価格の2倍はしている勘定だが、中国の関税が約20%、輸送費など諸々の経費を勘案すれば、この高値も致し方ないのかもしれぬ。
ところが、上海あたりの一般家庭で流通している米の価格はキロあたり5元(約80円)なのだから、これと比較すればなんと20倍もの高嶺の花となる。
主食たる食料品でこれほどの落差のあるモノが流通の対象になりうるといういうのは、私などの感覚からすれば想像を絶するほどの驚きだが、それが現在の中国社会なのだろう。
日本政府はさしあたり年間200〜300屯の輸出を見込んでいるという。この数値自体、希望的観測に過ぎないかも知れないが、仮に300屯の年間輸出が成ったとして、この米をほぼ常食とした場合5000人から最大10000人ほどの中国人の胃袋を満たすだけにすぎないのだが、その背景には公称13億の民が存在するというギャップには慄然とさせられる。
この国の格差も十年余りでだんだんひどくなってきたが、中国は超格差社会へとひた走りだ。


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<恋−79>
 夢にだに見で明かしつる暁の恋こそ恋のかぎりなりけれ  和泉式部

新勅撰集、恋三、題知らず。
邦雄曰く、「暁の恋」と言えば後朝であって当然なのに、待ち侘びつつ夜を更かし、なお諦めきれず夜を徹し一睡もしなかったこの恋のあはれ、これこそ極限の愛ではないだろうか。情熱の迸りが第五句まで流れ貫いていてただ圧倒されるのみ。「恋こそ恋のかぎり」、まさに丈なす黒髪を乱し乱して、ひたすらに訴える女人の姿が見えてくる、と。


 ふたり寝し床にて深く契りてきのどかにわれをうちたのめとて  藤原兼輔

兼輔集、きのと。
邦雄曰く、頼もしい丈夫の宣言であり、同時に秘め事として珍重に値する。一歩過てば鼻持ちのならぬ大甘の太平楽となるところを、なんの衒いもなく、むしろ雄々しい含羞さえ匂わせて、まさに朗々と、しかし低音で歌い出し、歌い納めたところ、天晴れと言うべきか。但しこの歌、物名歌で「きのと」を一首の中にそれとなく詠み込んだ言語遊戯であった、と。


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