わたのはら八重の潮路に飛ぶ雁の‥‥

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−世間虚仮− いやはや‥‥

国会議員票と都道府県連票(総数528票)で争われた自民党総裁選は、福田康夫330票、麻生太郎197票で、8つもの各派閥の領袖が支持に回った福田康夫が下馬評通り新総裁に。明日(25日)にも首班指名を受けて福田内閣誕生となるが、騒動の元凶たる現総理安倍晋三は慶応病院に蟄居したまま未だ姿を現さない。あの総理辞任の表明は同時に議員辞職即ち政界引退をも重ねてするべきではなかったか。

巨人との12ゲーム差をひっくり返して首位に立ったトラもここへきて4連敗、今年からセリーグでも採用されたクライマックスシリーズの一位通過もこれでかなり難しくなった。JFKトリオといくら球界一の抑えを誇っても、先発投手陣に柱不在の陣容では致し方なし、むしろ上出来というべきか。

昨日(23日)はやや曇り空でそれほどの暑さでもなかったようだが、一昨日の22日(土)は大阪市内では35.1℃という記録破りの猛暑日。’61年からの観測史上最も遅いもので、これまでの9月12日を大幅に更新とか。エルニーニョ現象とは逆の、東太平洋赤道上で海水温度が低下するラニーニャ現象の影響といわれるが、気象学などにはまるで蒙昧の徒にはラニーニャなどと耳慣れぬ言葉を聞くたびにアタマのほうも混濁気味となって暑さばかりがいや増しに増す。
夜は夜とてこういつまでも寝苦しくては、仲秋の名月も近いかというのに、これでは涼味も風情もあったものではない。

Wikipediaのご厄介になれば、エルニーニョラニーニャスペイン語だそうだ。エルニーニョは「男の子」の意味でイエス・キリストをも指し、一方ラニーニャは「女の子」の意味とかや。ならば聖母マリアを指すかと思えば、そこには触れておらず不明。

そのWikipediaといえば、近頃はWipedia-Scannerなるソフトがあるようで既に日本語版ウキスキャナーも開発されている由。このソフトにかかれば誰が何を書き込みしたかが一目瞭然となり、政府官庁筋の組織的な記事改竄が横行していることが判ったという。海の向こうでもCIAは勿論のこと、ローマ法王までが改竄編集に荷担しているという説もあって、なんとも「いやはや‥‥」言葉を失ってしまう。


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<秋−116>
 草枕夕べの空を人問はば鳴きても告げよ初雁の声  藤原秀能

新古今集、羈旅、和歌所歌合に、羈中暮といふことを。
邦雄曰く、後鳥羽院寵愛の北面の武士秀能、建永元(1206)年、満22歳7月の作。どこで今夜は眠るのか、雁よ告げてくれと声高く呼びかける趣きは、若々しく爽やかに、一抹の哀愁を含んで、記憶すべき初雁詠。同じ歌合の同題、雅経の作は「いたづらに立つや浅間の夕煙里問ひかねる遠近の山」が入選している。新古今竟宴のその翌年の華やぎであった、と。


 わたのはら八重の潮路に飛ぶ雁のつばさの波に秋風ぞ吹く  源実朝

新勅撰集、秋下、秋の歌よみ侍りけるに。
邦雄曰く、新勅撰入集の実朝作品は、道家と同数であり、西園寺公経慈円に次いで第6位だが、1位の家隆同様、秀作は殆ど含まれていない。「八重の潮路」例外的な佳品であり、強調、装飾表現に新古今調を見るものの、調べの重く響くところは、記憶に値する。「雁鳴きて寒き朝けの露霜に矢野の神山色づきにけり」が今一首の雁、と。


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