思ひ寝の心やゆきて尋ぬらむ‥‥

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−世間虚仮− 出口調査のフライング

大阪市長選の投票日でもあった今日の大阪は西北の風が吹いて冬近しの感。
立候補者5人と久し振りのにぎやかさで、おまけに自・公推薦の現職に対抗馬が民主推薦と共産推薦と市民派の3人が相応の有力候補とあってか、期日前投票も前回比1.7倍の11万6000人に及んだというが、さて結果はどう出ることかと思っていたら、投票締切の午後8時を過ぎたばかりで早くも毎日放送元キャスターの「平松候補が現職を破る」とのテロップが流れた。近頃過熱気味の出口調査によるものだろうが、まだ開票にまったく着手できていない段階でのこの報道には些か首を傾げざるを得ない。
投票総数の分母に対して一定量のサンプル調査をすればほぼ100%正確な結果を統計的に確率的に導けるとしても、それはあくまでも予測に過ぎないものなのだから、出口調査によれば当選の模様とすべきところだろう。
こういった報道姿勢にも問題を感じるが、出口調査からはたんに当落の結果だけでなく、いろいろな角度からの分析も得られるから各候補者や推薦政党にとっても貴重なデータとなるのは当然至極で、それが外部に漏れるということは一切ないのかどうか。どことはいわぬが近頃のマスコミの偏向ぶりを思量すれば、そんな疑念まで起きてくるのは些か妄想癖に過ぎないのだろうか。


<歌詠みの世界−「清唱千首」塚本邦雄選より>

<春−81>
 思ひ寝の心やゆきて尋ぬらむ夢にも見つる山桜かな  藤原清輔

続千載集、春下、題知らず。
邦雄曰く、山桜、山桜と憧れて夢に見る、「思夢」のあはれ。「心やゆきて尋ぬらむ」の第二・三句のねんごろな
修辞に、清輔独特の句風が見られる。清輔朝臣集にはこの歌に続いて、新後撰集入選の「小泊瀬の花の盛りやみなの河峯より落つる水の白波」も見える。二条院崩御により、折角選進した「続詞花集」も、勅撰集にならなかった悲運の人、と。


 幾年の春に心をつくしきぬあはれと思へみ吉野の花  藤原俊成

新古今集、春下、千五百番歌合に、春歌。
邦雄曰く、山家集の「梢の花を見し日より」と呼応するかの切々たる真情の吐露。千五百番歌合、時に俊成87歳、初句「幾年の」も重みを持ち、第四句「あはれと思へ」の念押しも、むしろ頷かせる。本歌は金葉集・行尊の同趣の山桜歌だが、縷々たる調べは遙かに勝る。歌合の番は具親の梅花に鶯をあしらった凡作であるにも拘わらず、忠良の判は持、と。


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