いちどきに二日の物も喰て置
「鳶の羽の巻」−19
ひとり直し今朝の腹だち
いちどきに二日の物も喰て置 凡兆
喰-くう-て置-おき-
次男曰く、二ノ折-名残ノ折-入。手間が省ける、ということを付合のたねにしている。但し、前はいつ、誰にでも有ること-実-だが、後は有りそうもないこと-虚-だ、というところに対の趣向がある。
これは折立にあたってはこびの変化を求める狙いとも不可分の工夫で、こういう奇癖・奇習は有りそうもないが、ひょっとして有るかもしれぬから考えてみてくれ、というのがじつは云いたいことである。つまり、折を跨いで人情の二句続に作るなら-情景の句を付ければ打越以下三句がらみとなる-、実−実の会釈-あしらい-では立句が立句にならぬ、と凡兆は見定めているのだ。
いま一つ、花の綴目に綻を以てした、折端の趣向を見咎めて、折立を虚としたのかもしれぬ。目配りの利いた俳諧師なら併せて思付きそうなことだ、と。
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