かぜ吹ぬ秋の日瓶に酒なき日

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Information<四方館 Dance Cafe>

―世間虚仮― Soulful days

「急性硬膜下血腫」−Neuroinfo Japan-脳神経外科症患情報ページ-参照

硬膜とは頭蓋骨のすぐ内側にあり、頭蓋内で脳を覆っている結合識性の強い膜のこと。この硬膜内部で脳の表面に出血が起こると、出血した血液が硬膜の直下で脳と硬膜の間に溜り、短時間のうちにゼリー状に固まって、脳を圧迫することとなる。これが急性硬膜下血腫。殆どの症例が大脳の表面に発生するが、ごく稀に左右の大脳半球の間や小脳表面-後頭蓋窩-に発生することもある。

急性硬膜下血腫発生の原因の殆どは頭部外傷によるもの。その典型的な発生のしかたは、頭部外傷により脳表が損傷され、その部の血管が破綻して出血し、短時間で硬膜下に溜まるというものである。その他、脳自体の損傷はあまり強くなく、外力により脳表の静脈や動脈が破綻して出血するものもある。

受傷機転は転落、交通外傷、殴打等であり、あらゆる年齢層にみられるが、とくに高齢者に多くみられ、小児では稀だが、虐待による頭部外傷等では比較的多くみられることが知られる。また、若年者ではスポーツ中の頭部外傷の際にみられることもある。我が国の重症頭部外傷Data Bank-JNTDB-の結果-1998年〜2001年-では急性硬膜下血腫手術例は重症頭部外傷例中の31%、頭蓋内血腫手術例中の74%でした。重症頭部外傷例とは、呼びかけや痛み刺激などで覚醒反応-目を開けたり、受け答えをしたり、指示に従ったりすること-がみられない症例のこと。

急性硬膜下血腫は強い外傷で起こることが多いために脳の損傷も強く、通常受傷直後から意識障害を呈する。ただ、前述したように、なかにはあまり脳自体の損傷はなく血管の損傷が主体のこともある。そのような場合には、血腫の増大に伴って徐々に脳が圧排され、受傷当初にははっきりしなかった意識障害が徐々に出現してくることもある。高齢者の日常生活内での転倒による受傷や、若年者ではスポーツ外傷などで時にみられる。いずれにしても、意識障害は次第に悪化し多くは昏睡レベルに達する。受傷当初は意識障害がない例でも、一旦意識障害が発現するとその後は急激に悪化することが多く、予後はきわめて不良である。ただ、ごく稀ながら、早期に急性硬膜下血腫が自然消失あるいは縮小することがあり、そのような場合には血腫縮小に伴い意識障害が改善することもある。


<連句の世界−安東次男「風狂始末−芭蕉連句評釈」より>

「炭俵の巻」−05

   ?見るまどの月かすかなり  

  かぜ吹ぬ秋の日瓶に酒なき日  芭蕉

瓶-かめ-に

次男曰く、「まど」を円窓と見定めた付だが、月の座を譲って空きとした趣向の釣合は「瓶に酒なき日」だという気転が作りのみそだ。

月見と酒は付物である。さらに、誰の眼にも林和靖らしく映る人物の姿をもいちどなぞっても詩はないから、芭蕉は、透かし見て掌中の珠といつくしむものとは瓶中の酒だろう、想を移している。

この「まど」を透かした寂寥の訴えはうまい。「月かすかなり」を承けて、空になった筈の酒の雫に、まだ未練のあるらしいさまもよく現れている。

句尾と釣合わせて「かぜ吹ぬ」と冠したところも、肌理こまかな工夫である。初五文字は一首の目鼻ゆえ歌は上から詠み下すものとのみ思うな、とは和歌初学のいましめだ。そうした伝統が身についていて、句もこういう句が生まれる。おかげで前句の白々とした気配にもよく適って、白帝の晒された光の状態を捉えきった句になった。

野水の句は杜国の句に合せると霜?の寂寥のなかに景を断つが、芭蕉句に奪われると李白のごとき詩仙の一人物を現前させる。さすがにうまい奪い方をする、と。


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