茶に糸遊をそむる風の香

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INFORMATION
林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」

―四方のたより― 同い年対談 in いたみ

ネパールの岸本学校を支える「きしもと学舎の会」に新しい支援の輪が生まれようとしている。

昨日の午後、車イスの岸本康弘を車に乗せてJR伊丹駅前のAI・HALL横の喫茶室に行った。
会ったのは、岩永清滋氏と岩国正次氏と、それに牧口一二氏。

牧口氏は、NHK教育TV「きらっといきる」のレギュラー司会を、番組が始まって以来10年近く務めており、講演でも全国をめぐる多忙の人。この日も番組の収録を終えて駆けつけたということで、遅れて参加。
岸本と同じく、岩永氏も牧口氏も障害者で、集った5人の内3人が車イスという一座がテーブルを囲んで、学舎支援のあり方について、しばしの談論は終始和やかに進んだ。

岸本の場合、1歳の頃、腸チフスから激しい高熱に苦しんだあげく脳性マヒとなり、四肢が不自由の身となったのだが、牧口氏の場合も、同じ1歳の頃に脊髄性小児マヒ-ポリオ-にかかり、不自由な身となっており、しかも二人は1937年生まれの同年だ。その誼もあってか以前から交友はあったらしい。

その二人の対談をメインに、きしもと学舎支援を広く呼びかけるべくイベントを行うこととなった。

11月23日(日)の午後2時から、場所は昆陽池公園傍のスワンホール3階の多目的ホール

岩永氏が代表理事を務めるNPO法人サプライズも共催のかたちで支援体制を図るという。
岸本自身の健康問題という先行き不安の火種を抱える学舎の会にとってこんな力強い朗報はないだろう。


<連句の世界−安東次男「風狂始末−芭蕉連句評釈」より>

「霜月の巻」−10

  寂として椿の花の落る音  

   茶に糸遊をそむる風の香  重五

次男曰く、茶はもともと僧院の学事修行に欠かせぬ覚醒剤で、晩唐以後、在俗のまま僧居を装い好んで残心を茶烟-湯気、匂-にに託する風は、文人間の一流行となる。芭蕉の、
「馬に寝て残夢月遠し茶のけぶり」 -野ざらし紀行-
もそれを抜きにしては語ることはできない。「茶に糸遊をそむる」は陽炎-春-の立ちそめる春分の候、茶を煎じると解してもよいが茶烟そのものを、陽炎と踏み込んで見遣った執成に気転の妙があり、「糸」に掛けた「そむる風の香」も巧い治め方だ。見る聞くの次は嗅ぐと見定めた韻字-香-は、むろん計算の内である、と。


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