江を近く独楽庵と世を捨て

Alti200601077

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林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」

―世間虚仮― アレルギー性喘息に朗報か

アレルギー性喘息など気道過敏症の原因となる細胞を、理化学研究所がマウス実験で突き止めた、という。

肺に多く分布するNKT細胞-ナチュラルキラーT細胞-にだけ出現するIL-インターロイキン-−17RBというタンパク質を持ったヤツが、この悪玉細胞だということらしい。

これまで、発作的な喘息や、咳を起こす直接の原因物質は分かっていたが、これらがどの細胞で、どう作られるのか不明だつたから、全国に300万人といわれる慢性患者に対症療法でしか処置できなかったものが、近い将来、慢性化する前に予防できるように実用化が期待される、というわけだ。

このところ多田富雄の免疫理論などを読んできたおかげか、こういう話題にも少しは理解がともないついていけるようになった。


<連句の世界−安東次男「風狂始末−芭蕉連句評釈」より>

「霜月の巻」−15

   麻かりといふ哥の集あむ  

  江を近く独楽庵と世を捨て  重五

江-え-を、独楽庵-どくらくあん-

次男曰く、逆付ふうの二句一章で、其人の付。

恋の気分を抜いて世捨人としたところに思案がある。その世捨人が、山ならぬ江上に庵を卜し、葦刈ならぬ麻刈という名の歌集を編む、という目付が面白い。

「刈りはやす麻の立ち枝にしるきかな夏の末葉-うらば-になれるけしきは」-正治百首、1200、源通親-というような歌が無いではないが、麻刈は俳諧が季題とした習俗である。

「独楽庵」は長嘨子の庵室「独笑」の捩-もじ-りだろう。以て江上の隠者の住まいに当てたのは、芭蕉への讃である、と。


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