日ざかりの水鳥は流れる

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山頭火の一句−大正15年8月の頃か

この年の6月、山頭火は味取観音堂の安穏とした堂守暮しを捨てて行乞の旅に出た。


―表象の森― 三つの弓なりの花かざり

「大地と大洋がもつ意識、それが無人島であり、世界の再開に備えている」
 -ジル・ドゥルーズ無人島の原因と理由」1953-

「長いあいだ背中を向けていた海の方をふり向いてみると、日本の島々が大陸から少しばかりはがれた部分であることもまちがいはないが、他の反面は広大な太平洋の南のあたりにちらばった島々の群れつどいの中にあきらかに含まれていて、その中で一つの際立ったかたちを形づくっていることも否定できない。ひとつの試みは地図帳の中の日本の位置をそれらの島々を主題にして調節してみることだ。おそらくは三つの弓なりの花かざりで組み合わされたヤポネシアのすがたがはっきりあらわれてくるだろう。そのイメージは私を鼓舞する、奄美ヤポネシア解明のひとつの重要な手がかりを持っていそうだ。
 -島尾敏雄ヤポネシアの根っこ」1961-

ここでいう、三つの弓なりの花かざりとは、日本列島の弧状の姿であり、それぞれ千島弧・本州弧・琉球弧を指す島尾敏雄の特異ともいえる図像的詩学であり、日本列島を太平洋島嶼圏のミクロネシアポリネシアにならって「ヤポネシア」という群島状の連なりとして捉え直すことで、ヤマトとしての国家空間の閉鎖性を相対化しようとしたヴィジョンであった。
 -今福龍太「群島−世界論」2008-

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